子どもたちも読む訓練をしていない

子どもたちも、多くは読む訓練をしながら育っているようには見えません。

受験勉強を例に取るとわかりやすいのですが、読んで理解するスキルを鍛えることよりも、試験に出る問題を塾などで教えてもらうことが優先されます。その問題への答え方を教わり、解答用紙に正解を書き込むことで成績が上がります。

したがって、子どもは自分で読んでポイントを見つけることは、当たり前にしているようで、実はやっていないのです。

つまり、必ずしも読むことなく試験には合格できますから、受験生であっても、読む訓練をしていない人は多いわけです。

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大学でも課題図書を読んできていない学生ばかり

大学での講義も同じようなものです。多くの授業は、学生が何も読んできていない状態で行われます。事前に読んでくるよう課題を出しても、読んでこられる人は少ないからです。

そこで授業はどのように行われるのか。やはり教員がパワーポイントのスライドを前に映して、1枚ずつ説明していくのです。

これは学生にとって、本なりのポイントを読み上げてもらっているのと同じことです。学生は予備知識のない状態で、ぼんやり話を聞いているだけになります。

事前に読むべき本が指定され、授業ではその本から重要なポイントの説明がされる。次に解答すべき設問が出され、それについてグループでディスカッションをするといった進行の仕方が好ましいと思っても、実施することができません。

もちろん「学生」を一括りにするのは強引で、読書力には個人差があります。しかし、一部の学生が読んできていても、そうでない学生が混ざることで、グループでのディスカッションなどは、極端にレベルが低下するか、成り立たなくなってしまうのです。

大学の授業もこのような感じで、まるで読まない学生も多いのが現状です。院生でも、専門書など、ほとんど読んだことがない人も、決してめずらしくありません。