資料を読み上げてもらわないと理解できない

読めない人が多いことで、職場にはさまざまな問題が生じます。

たとえば資料を読めない人がたくさんいることは、思い当たる人も多いのではないでしょうか。会議の資料も事前に読んでこられない人ばかり。これが業務遂行のレベルを低下させます。

会議では、事前に配布された資料には全員が目を通してきて、その場ではポイントだけ確認し、物事を決定していくべきです。しかし、ほとんど誰も読んできていない。

それでどうなるかというと、全員がいるところで、それぞれの資料を作成した人たちが、その資料に書いた内容を読み上げていきます。

会議の参加者は読めない人ばかりですから、読んでもらわないと理解できないのです。

読んで聞かせてもらうのが当たり前と思っている人も多く、彼らは何時間もの長い時間を使って、延々とそれを続けます。

一日中それをやっているので、会議が終わって自分の仕事をはじめられるのは、午後の遅い時間からで、したがって残業は当たり前。これがめずらしいことではないのです。

(また、これでムダが多いと責められるのではなく、頑張っていると評価されるような職場もあるので驚きです。)

プレゼン資料のアイコンをタッチする男性
写真=iStock.com/Amit_Choudhary
※写真はイメージです

パワーポイントがないと話が通じないなんて…

さらに、相談者の上司の方が指摘されたように、読めない人がつくる資料はわかりにくいことも多く、そうなると会議では、書いた資料を読むだけでなく、「それぞれ皆パワーポイントのスライドを使って説明を」となることすらあります。

(また、こんな職場では、それが優れた会議の仕方のように考えられているものです。)

繰り返しますが、皆に読むスキルがあれば、ただ書いて渡せばよいものが、読めない人たちばかりのために、作成した資料を一字一句読み上げるばかりでなく、別途スライドの資料もつくって、それを使って説明をしなくてはならない。

それで多くの人が、パワーポイントをコテコテ作成し、それを仕事と呼んでいるのです。

話を聞かせる相手が顧客であれば、それでもいいでしょう。プレゼンは相手方が望む要領で行うべきだからです。しかし、社内でそんなことをしないと話が通じないなんて……。

読めないことや、それを容認することは、私たちの仕事の効率を下げてしまう、日本中にはびこる大きな問題なのです。