60代以降こそ、失敗を恐れてはいけない

【和田】若くして早くに売れてしまった人は、多くの場合、そのままずっとうまくいき続けるなんて、そうはないんじゃないかな。

【中尾】私たちの時代かもう少し下の世代の人たちは、今が楽しければいいという風潮になってきていました。私はもう少し年を取っていたから、「うまいことはそう続くものではないよ」などと思っていました。やはり上の世代がいろいろと教えてくれたことが大きかったと思います。

【和田】それは大事なことですね。

【中尾】とにかく、60歳になったら守りに入ってはダメだと思います。失敗を恐れないでほしい。そもそも失敗をしなければ学べませんから。失敗がいちばんの勉強だと思います。

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【和田】60代以降、年を取っていちばんいいところは時間があることですよね。たとえば、行列のできるラーメン屋に1時間並んで実際に食べてみて不味かったという経験も“失敗”です。でもそういう失敗ができるのが、年寄りのいいところですよね。

現役バリバリの若い頃に1時間を無駄にしたらもったいないと思ってしまうし、若い頃はとかくプライドもあって、失敗したくない気持ちが勝ってしまいがちですから。年を取ってからは損をするのは時間だけですからまったく問題ない。お店選びに食べログの点数だけを当てにするのはやめようとか、学びだけがある。

重要なのは同じ失敗を繰り返さないこと

【和田】大事なポイントは、失敗をしてはいけないのではなくて、同じ失敗を繰り返さないことなんだと思います。

エジソンが「私は失敗したことがない。1万通りのうまくいかないやり方を見つけただけだ」なんて言ったように、うまくいかないやり方を見つけたんだと考える人は、その失敗を生かすことができる。それが失敗から学べる人です。

1時間並んでラーメンが不味かったら、次また1時間並んだりしないことですよ。そうやって学ぶことで、あれはダメだよと人に教えてあげることもできますしね。だから、逆に言えば、失敗しないと学ばないわけですよね。

【中尾】失敗してもいい、むしろどんどん失敗して、経験を積んだほうがいいと思います。

【和田】年を取ると若い頃よりもはるかに失敗が許されますしね。

【中尾】何を「失敗」と受け取るかにもよります。たとえば、人から着ている服が似合わないと言われても、自分が気に入っているなら、もう好きに着ればいいと思います。「あなたが着てるわけじゃないんだから」と、そこまで本当に開き直ってしまえば、年を取ることはかなり楽です。楽しもうと思えば、いくらでも楽しめるのではないでしょうか。

【和田】迷ったらやるってことですね。