教室が不足し、仮設校舎を設置することに
学校では、子どもたちにのびのびと学校生活を送ってもらい、昼休み時間を楽しんでもらいたいという思いはあるものの、児童数が過密となることなどから子どもの安全を第一に考え、昼休みに校庭で遊ぶ学年を、曜日によって絞るという運用を行っているという。浦和別所小学校の持木信治校長も、複雑な思いを打ち明ける。
「非常に子どもたちが多い。ただ施設面は限られている。なんとか子どもたちが困らないように学校生活を進めています。そこは努力しています。子どもたちが多いので、すごく活気はあるのですが、すぐに校庭を広くするとか子どもたちの人数を減らしてほしいということはできないので、今ある環境でなんとか工夫して子どもたちの教育環境を整えられればということを、我々は考えています」
この学校では、児童数の増加に伴い教室が足りなくなったため、数年前には仮設校舎を建設した。中学年の一部のクラスが仮設校舎を学び舎にしている。
ただ、仮設校舎から本校舎までは50メートルほどの渡り廊下を渡らなければならず、本校舎にある図書館が遠いことなども考慮し、仮設校舎にも図書コーナーを設けるなど学校運営を工夫しているという。
小中一貫の公立校を新設する予定だが…
一方で、現場の工夫だけで子ども数の増加に対応することにも限界がある。このためさいたま市は、児童の増加を踏まえて、新たに小中一貫の義務教育学校の設置を予定している。
市は、義務教育学校について3カ所の校舎を活用して運営を行う方針で、既存の小中学校2校の校舎を活用するのに加えて、新校舎を整備する計画だ。新たに整備されるのは沼影校舎で、この予定地になっているのが市の沼影公園と沼影小学校の一部の敷地である。
2024年度に実施設計、2025年度に着工、2028年度の開校を目指している。市は、義務教育学校全体で子どもの数が3600人ほどの規模を想定していて、このうち、沼影校舎には、5年生から9年生までのおよそ2000人が通う想定だ。
そのほか、現在の浦和大里小学校を浦和大里校舎、そして内谷中学校を内谷校舎として、それぞれ1年生から4年生までのおよそ800人ずつが通う想定となっている。この校舎の一部として活用されることが決まっている沼影公園は、ウォータースライダーや流れるプールなどがあり、地域の子どもたちに親しまれてきた場所でもある。
子どもの教育環境を整備するための学校の建設で、子どもの遊び場が減ってしまう。こうした矛盾に、一部の市民からは反対の声が上がり、沼影公園の存続を求める署名活動なども行われてきた。