再開発が進み人口増加が続くさいたま市で、異変が起きている。住宅情報サイトが行った「住みたい街ランキング」でも上位にランクインしているが、“人口増加のしわ寄せ”とも言える事態が起きているという。NHK取材班がまとめた『人口減少時代の再開発』(NHK出版新書)から一部を抜粋してお届けしよう――。(第1回)
さいたま新都心の風景
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“異例の人口増加”を続けるさいたま市

2003年に政令指定都市となり、20年が経過したさいたま市では、人口の流入が続いている。

移り住んだ人に話を聞いてみると、都心からおよそ30分という利便性の良さや、水害や地震などの災害が少ない地域であること、教育環境が整っていることなどが魅力だという。さいたま市によると、10年前の2014年に125万人余りだった人口は、2018年には130万人を突破した。2024年6月時点では134万9000人と、毎年およそ1万人のペースで人口が増加している。

全国の自治体のほとんどが人口減少に頭を抱えている中で、異例とも言える人口増加を続けているのだ。実際に、2024年2月に発表された民間の住宅情報サイトが行った東京、神奈川、埼玉、千葉、茨城の1都4県の「住みたい街ランキング」でも、さいたま市の人気が際立つ結果となっている。

この調査は、1都4県の20代から40代の9000人余りに、インターネットで住みたい街を駅名で選んでもらったもので、さいたま市の「大宮」が2023年よりも順位を一つ上げて過去最高の2位、さいたま市の「浦和」も順位を二つ上げて10位にランクインしている。こうしたさいたま市の人気を支えているのは、子育て世帯の転入だと考えられている。

総務省が住民基本台帳に基づきまとめた「人口移動報告」によると、転入者数から転出者数を差し引いた転入超過は2023年に7631人と、全国のおよそ1700市町村の中で第6位となっている。

特に顕著なのが0歳から14歳までの子どもの転入超過だ。14歳以下に限ると、転入超過は988人と全国第1位となっていて、2015年から2023年まで9年連続で全国第1位の転入超過数となっていることから、さいたま市が子育て世代に選ばれていることが見えてくる。こうした人口増加などの影響で、個人市民税の税収はこの10年で500億円あまり増えるなど、市の財政にも好影響を与えている。