大本命・小泉進次郎氏は、増税「積極推進派」
まず、自民党総裁候補者として大本命とされる小泉進次郎議員を見てみよう。小泉進次郎議員は9月6日に共同通信の単独インタビューに応じ、増税ゼロの茂木ラインを完全に否定した。その上で、「岸田政権で決めたことを踏襲したい」としている。したがって、小泉進次郎議員は、マクロ経済・財政運営に関する素養がないことは明らかだ。
また、小泉議員が踏襲するとしている岸田政権の増税路線は、防衛増税も子育て支援金の追加社会保険料に関しても、国政選挙で有権者に一度も承認されたことがない。つまり、この2つの政策は民主的正当性に欠ける後出しジャンケンの増税政策なのだ。そのため、特に防衛増税は自民党内ですら強い批判に晒されてきた。
一方、小泉議員は総理総裁就任早々に解散総選挙を打つとしている。それは増税議論を予定している年末の与党税制調査会に間に合わせる形で選挙を実施することを意味する。前述の発言と合わせると「岸田政権下の増税を正当化する」ための選挙を早期に実施すると言っているに等しい。小泉議員は増税積極推進派だと言えよう。
見た目は若いが、「古い自民党政治」そのもの
さらに、小泉進次郎氏は自分の足りないところを「最高のチームで補う」と出馬記者会見で述べたが、小泉進次郎氏の推薦人で若手の側近議員たちはいずれも増税派だ。小泉進次郎氏の側近若手議員らは2017年に発足した「2020年以降の経済財政構想小委員会」のメンバーである。同小委員会は「子ども保険」を提唱した委員会として知られており、現在の子育て支援金の追加社会保険料の徴収の原型を作ったメンバーだ。
日本経済のマクロ経済環境が改善し、経済成長による税収増(そして定額減税)、そして財政健全化の見通しが見えているとき、自分たちが作った過去の増税政策にこだわる姿勢は「見た目は若いが、デフレマインドの古い時代の人物」だと言えよう。
また、小泉進次郎氏はスタートアップ売却時の減税などにも一部触れているが、レジ袋有料化強制や子ども保険などを国民に幅広く事実上の課税を行う代わりに、自分に近しい一部の業界にだけミクロな減税(お目こぼし)を行う姿も、従来型の自民党政治の延長と同じものだ。