石破氏、小泉氏、高市氏の「三つ巴」の大接戦
過去最多の9人が出馬した自民党総裁選(9月27日投開票)で、高市早苗経済安保担当相が「大穴」に急浮上した。「本命」の小泉進次郎元環境相と「対抗」の石破茂元幹事長に割り込み、三つ巴の大接戦になっている。この3人のうち上位2人の決選投票にもつれ込むのは確実な情勢だ。自民党内では「高市政権誕生」への警戒感が一気に広がり始めた。
高市氏は9月12日の告示前まで出馬に必要な推薦人20人を集めるのに四苦八苦し、自民党内では泡沫扱いする向きさえあった。ところが告示後、マスコミ各社の世論調査で小泉氏と石破氏を猛追し、自民党の党員・党友を対象に行った調査では小泉氏を抜いて石破氏とトップを争っているという報道が相次いでいる。
なかでも読売新聞が9月16日に報じた『自民党総裁選で高市・石破・小泉氏が競る、決選投票の公算大きく』の記事は波紋を広げた。党員・党友を対象にした電話調査は1位石破氏(26%)、2位高市氏(25%)、3位小泉氏(16%)だった。
読売新聞が自民党国会議員の動向を取材したところ、取材時点で小泉支持は45人、高市支持は29人、石破支持は26人。これをもとに党員・党友票と国会議員票が同数に換算される第一回投票の結果を試算すると、高市氏と石破氏が123票でトップに並び、小泉氏は105票で出遅れていると報じたのだ。
進次郎氏の失速、高市氏の猛追
他のマスコミでは小泉氏がトップを走り、石破氏と高市氏が激しく追っているという内容もある。けれどもこの3人の大接戦になっているのは間違いない。国会議員票では小泉氏が頭一つリードし、石破氏と高市氏は苦戦。逆に党員・党友票では石破氏と高市氏に勢いがあり、小泉氏は当初予想に比べて伸び悩んでいる傾向はおおむね一致している。
小泉氏が想定外の混戦に持ち込まれた要因は、①「聖域なき規制改革」の目玉公約である「解雇規制の見直し」に批判が噴出し、小泉氏が主張をトーンダウンさせて迷走したこと、②選択的夫婦別姓への賛成姿勢が党員・党友の保守層に敬遠されたこと、③43歳の小泉氏の首相就任で世代交代の歯車が一気に進むことへの警戒感が50~60代の国会議員の間でくすぶっていること――があげられる。