競技やスポーツとして捉える向きが強い

次に国民性からくる派生効果について考えていきたい。最も表面化されているのが「コンテスト」と「スクール」がシステム化されているところではないだろうか。

日本はスケートボードをカルチャーよりも競技やスポーツとして捉える向きが強く、特に小学生・中学生の年代はその傾向が顕著。そこに昨今のスケートパーク急増という社会的背景が加味されれば、当然スクールの数や種類は増えていく。今は体験会から初心者〜上級者までレベル別だけでなく、オンラインやマンツーマンなど様々な選択肢があるし、部活化や学校の授業に取り入れるところも出始めてきた。それらはオリンピック種目採用によって、スケートボードが日本の文化や風習に徐々に馴染んでいった結果ではないかと思う。

ただいくらスクールが充実しても、磨いた実力を試す場がなければ発展していかない。そこで必要になるのがコンテストなのだが、日本はどの年代でも目指すべきゴールが明確になっているのが大きな特徴だ。基本的にスケートボードにはインターハイのようなアンダーカテゴリーの大会はないのだが、Flake CupとAJSA(日本スケートボード協会)の2つがそれに代わる役割を果たしている。

筆者撮影
小学生以下に参加資格があるFlake Cup。現在はすぐに定員が埋まってしまうほどの人気。

Flake Cupを経てAJSAを目指すというルート

Flake Cupは小3以下のキッズと小4~6のジュニアの2クラスがあり、体格や体力差を最小限に抑えつつ、各年代で上を目指せる環境を構築。現在はAEON MALLと提携して全国各地を転戦するジャパンツアーを行い、そこを勝ち抜いた選手たちで日本一の小学生を決めるチャンピオンシップまで行っている。今やエントリー開始からわずか10分ほどで定員が埋まってしまうほどの人気であるため、今年から新たな試みとしてB戦の運営もスタート。現在進行形でピラミッド型システムの構築が進んでいる。

そして次に目指すところがAJSAになる。全国各地域のアマチュアサーキットと、それを勝ち抜いた選手達によるプロ昇格をかけた全日本アマチュア選手権、そしてプロサーキットと明確なステップが確立されている国内唯一の組織だ。こちらは出場選手の年齢に制限を設けていないのだが、アマは中学、プロは高校年代の層が最も厚いため、年代別の目標もすごくクリア。プロ戦で優勝を達成する頃には、もう世界を現実に捉えられるレベルに成長しているというわけ。