あらゆる数値の中で最も注意すべきは「血糖値」
ここ数年、欧米における予防医学界が掲げている最大のテーマは「ビジネスパーソンの健康をいかに保つか」ということです。
企業が社員一人一人の生産性を上げてサステイナブルな経営をしていくためには、「社員の体と心を健全化して、1人ひとりのパフォーマンスをアップしていくしかない」というところに気づきを得たためです。
社員の心身のコンディションを最適な状態になるようサポートすることで、生産性の向上だけでなく、近年国内で増えている労働者のうつ病の発生を抑えたり、離職を防止したりすることにもつながります。
労働者の体と心の健全化のために、最も重要なことは何でしょうか?
これについて「血糖値のコントロール」と結論づけたのが、NASAでした。宇宙空間で働く宇宙飛行士のメンタル、注意力、学習能力、判断能力、コミュニケーション能力などのパフォーマンスに、血糖値が強い影響を与えていることを明らかにしたのです。その後、米国の企業にも、従業員の健康管理の大きな柱として、血糖値コントロールを取り入れる動きが表れました。
ランチに大盛りのラーメンライスを食べ、午後に血糖値の急上昇「血糖値スパイク」を起こしてしまっては、眠気とイライラに襲われてパフォーマンスが極端に低下することは避けられません。
こうした従業員が多数を占めれば、当然ながら企業の業績は落ちますから、社員の血糖値マネジメントを行うことは生産性の向上に大きな効果があると期待できるのではないでしょうか。
猛スピードで開発が進む「健康管理デバイス」
ただし、今の日本においては、先にもお伝えした通り、健康診断を年に1度だけ行っている企業がほとんどです。心電図を測り、バリウムを飲ませてレントゲン検査をするといった、おなじみの方法です。果たして、従業員の心身の健全化がそれでマネジメントできるのかどうかは大きな疑問です。
現在は、体に針を刺して血液を採取せずとも血糖値が測定できる、ポータブルな医療器具の開発が進んでいます。
そして、グーグル、アマゾン、アップルなど、世界有数のテクノロジー企業が、アプリやスマートウオッチなど、競って血糖値管理のデバイス開発に投資をしています。世界中で激増する糖尿病患者に対して、猛スピードでその新しいツールやサービスを提供しようとしているのです。
病院へ行かなくても、体に針を刺さなくても、自分で簡単に血糖値の管理が行える未来が、すぐそこにやってきています。
航空機のパイロットがフライト前に呼気のアルコール濃度を検査するように、一般企業でも、就業前に従業員が自らの血糖値を計測し、コンディションチェックをする社会が実現するかもしれません。
もちろんそれは、企業が従業員の不健康を取り締まるためではなく、ビジネスパーソン自身が自分の健康状態を把握して、健康を積極的に自主管理する意識を培うためのものになればよいと思います。