顧客満足度を高める急速冷凍技術

惣菜売り場で最も人気が高い商品のひとつにピザがあります。多いときには、1日で1000枚売れる店舗もあります。店舗内の窯で作った焼き立てピザをあえて冷凍機で保存して、「オリジナル冷凍ピザ」(430円)として販売することで付加価値を高めています。

焼き立てを急速冷凍すると旨みを閉じ込めることができるため、週末にまとめ買いをする家族が、翌週に買いだめしたピザを解凍して食べても、できたてと同じクオリティで食することが可能となります。

そのうえ、この冷凍ピザは、冷凍庫に保存しやすいように、あえて長方形にカットされているのも特徴的です。冷凍庫から取り出してオーブントースターやグリルで10分程度温め直すだけで、いつでも本格ピザを愉しむことができるのです。

ロピア博多ヨドバシ店(写真=SuFlyer/CC-Zero/Wikimedia Commons

「オリジナルの味+できたて」を提供できる

自家製冷凍惣菜の中で最も人気の高い商品である冷凍カレーでも付加価値を高める工夫がなされています。この冷凍カレーは、元インド日本大使館の料理長がレシピを考案して作っているため、既存のフレークやルーを使用していない正真正銘のオリジナルカレーになります。

作り方は、600kgの巨大釜を使い、まず、ニンニクと生姜を炒め、それに10種類以上の特製スパイスを混ぜ、バターやチキンブイヨン、トマトなどを加えます。その後、香りが飛ばないぎりぎりの温度で煮込み続けて完成に至ります。

完成したカレーはおいしさを保つために、一人前ずつにパッケージングして、巨大なトンネルフリーザー(全長約9メートル)の中をコンベアで送りながら冷気で凍結させます。美味しさをそのままに完全冷凍する手間をかけていることから、家庭では湯煎せずにレンジで解凍するだけで食することができます。

このように、ロピアでは、スパイス自体を一から調合し、十分に加熱して香りを立たせてから作るといった複雑な調理法でオリジナルな味を生み出しているだけでなく、手間をかけずに顧客が簡単にできたてと同じクオリティで食することができるという創発的な価値を生み出しているのです。