23歳で「現場の長」になれる

チーフの登用に制限を設けていないのも、優秀な人材を幅広く人選できる仕組みにするとの組織としての意向がうかがえます。チーフに昇進する最速の年数は、新卒では1年10カ月、中途採用では1カ月となっており、これまでの最年少チーフの年齢は23歳といったように、在籍年数や年齢にとらわれずに登用しています。

こうしたチーフ制度の導入は、社内において新たなる競争を生み出すことになります。各売り場のチーフは、その地域の顧客ニーズやウォンツを的確に把握し、そうした要望に合った商品設定やプライシングを行うことになるため、商品の配置や品揃えなどに加え、床や照明の装飾までもが売り場ごとに異なります。それゆえ、こうした顧客志向や現場力は、必然的に売り場同士の競争関係をもたらすことになるのです。

たとえば、ある店舗では、惣菜売り場で“ウナギの姿寿司”を販売していますが、その隣にある鮮魚売り場では、“ウナギの蒲焼き丼”が売られています。

2週間スパンで新商品を投入できる理由

このように各売り場は競合関係にあるため、それぞれの売り場のチーフは、恒常的に新たなメニューの開発を行っていかなければ、競合他社はもとより目先に位置する他の売り場の後塵を拝することになります。こうしたスーパー内の競争による企業努力こそが、ロピアが生み出す高品質と低価格の源泉になっているのです。

PBの開発では、チーフが単独で企画開発にあたることもありますが、それぞれの売り場のチーフが他の店舗の同じ売り場のチーフと連携してアイディアを持ち寄り、試作会を開くことで新メニューが考案されています。

試作会で新たに考案されたメニューの材料やレシピといった詳細情報は、その場で上司にメールで送られることになり、上司はおおむねその日のうちに判断を下してくれるので、早ければ2週間で新商品が店頭に並ぶことになります。こうした商品開発のスピード感もまた、ロピアの成長を促す糧になっているのです。

顧客志向を貫くことで顧客満足度を上げることも、ロピアが組織的に注力している点です。ロピアが貫く顧客志向とは、商品を購入する際に顧客にとって何が最善なのかを考えて付加価値を高めることです。