感情のオウム返しが共感を生む

「週末、キャンプに行くんですよ」「キャンプですか」
 ↓
「それは楽しみですね。ワクワクすることがあると、仕事も頑張れますよね」

話を聞くときに、相手が言った言葉をそのまま返して話を促す「オウム返し」という手法があります。

「初めて上司にほめられたんだよね」という話に「初めてほめられたんだー」などと返すことですが、“事実”のオウム返しでは、場合によっては冷たく感じられたり、嫌味っぽくなったりすることもあります。

「それはうれしかったね」と言葉には表れていない“感情”のオウム返しをすると、話すほうも「気持ちをわかってくれる」と感じて、一体感が生まれます。

会話がポジティブな内容なら、「うれしいね」「ほっとしたね」などと感情のオウム返しをしながら笑顔で返し、ネガティブな話題なら「辛いよね」「不安だよね」と顔の表情や声のトーンも合わせて返しましょう。

相手が仕事でたいへんそうなときは、明るく対応するのではなく、あえて「疲れてない?」とネガティブな感情に同調すると、「そうなの。家でもいろいろあってね」と本音を話したくなるでしょう。

かつて「駐車場で当て逃げされて……」と友人に話したら、私以上に友人が「むちゃ腹が立つ~!」と大激怒。

それを見て自分の怒りが静まり、気がラクになりました。

相手がうれしいときは一緒に喜び、悲しいときは一緒に悲しむ……。そんな共感ができる人になったら、人が集まってくることはまちがいありません。

自然と話したくなる3つの質問

「そもそもきっかけは?」(きっかけ)
「いちばん好きなのは?」(いちばん)
「うまくいくヒケツは?」(秘訣やコツ)

「共通の話題がない」「タイプが違いすぎる」と敬遠してしまいがちな相手でも、しゃべりたくなる質問があります。

まずは“きっかけ”を聞く質問。「料理にハマったきっかけは?」「いまの仕事を始めたきっかけは?」「ご主人(奥様)と結婚したきっかけは?」というような、“そもそも”の始まりや動機は話しやすく、その人の背景を知ることができます。

つぎに「いちばんの得意料理は?」「いちばんうれしかった(苦労した)ことは?」「いちばんの思い出は?」など“いちばん”を聞く質問。

好きなこと、熱中していることの頂点は楽しくしゃべれるもの。相手の価値観や指向もうかがえます。

有川真由美『話し方を変えれば運はよくなる』(三笠書房)

「教えてほしい」というスタンスで“秘訣”を聞くのも、相手の自尊心を満たし、気持ちよくしゃべってもらえる質問です。

「料理を短時間でつくるコツってありますか?」「お客様に信頼してもらえる秘訣は?」「夫婦仲良くする秘訣は?」といった質問は、聞く側にとっても役に立つので、話が弾むでしょう。

話してくれたら、「面白いですね~」「それは意外でした」「素敵だなぁ」と大きなリアクションで「あなたの話は聞く価値があります!」と示しましょう。

本来、だれもがしゃべりたいのです。話を熱心に聞いてくれる人は安心して心を開く存在になるはずです。

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