「私はどう感じたか」を伝える
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「どうしたら、そうなれるか教えてほしいです」
家事を手伝ってくれた子どもに「あなたはいい子ね」「よくできた」とほめるより、「お母さんはうれしかった」「自分の時間ができた」とやってくれたことへの効果を伝えたほうが、自分から手伝いをするようになるといいます。
違いは主語が“あなた”か“私”か。
「私はうれしかった」と人に言われると、自分の行動が役に立ったと実感できるのです。
大人であっても、「報告書、よく書けていました」と言われるより、“私”を主語にして「報告書、読みやすくて、とてもよく理解できました」と言われたほうが、説得力があるでしょう。
「相手にいい影響を与えた」「少しだけ幸せにできた」という喜びは、大げさなようですが、自分の存在価値を高めてくれるものだからです。
ほめ言葉というのは、相手をジャッジする言葉なので、少々上から目線に感じることがあるかもしれません。目上の人に対して「よくできていますね」などとほめることはないでしょう。
「感銘を受けました」「尊敬します」「教えてほしいです」といった「私メッセージ」は、ほめ言葉以上にプライドをくすぐります。
ほめるのが苦手という人も、喜びや感動を表現することはできるでしょう。
ほめ慣れている人は、「すばらしい! 感動しました」というように「あなたメッセージ+私メッセージ」を意識すると、相乗効果で相手に伝わるはずです。
「いい」より「好き」がストレートに響く
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「○○さんのセンス、私は好きです」
ほめられてうれしいものの、なんとなく心地悪さを感じてしまうなら、それは相手の本心がよくわからないからかもしれません。
ほめを超えてくるほめ言葉があります。
それは「好き」という言葉。
私も自分の書いた本を「あの本、よかったです」とほめられるのはうれしいものですが、「あの本、好きです。何度も読んでます」などと言われたら、飛び上がって喜びたくなるほど。
相手の気持ちが伝わってきて「これからも頑張ろう」という勇気をもらえます。
「好き」という言葉は、少し照れくさく感じるかもしれません。
でも、意識してみると、案外、使える場面は多く、慣れてくるものです。
たとえば、「そのバッグの形が好き」「○○さんのお家、居心地がよくて好きです」「○○さんの会社の商品、大好きでよく使ってます」というように、その人が好きなものを一緒に「好き」と言えるのは幸せなこと。
ほかにも相手の性質を「○○さんのセンスが好き」「ノリのよさが好き」「その考え方、好きです」など限りなくあります。
「好き」に焦点を合わせていると、あたたかい好意の気持ちが自然に広がっていくのです。