相手にほめられたら、どんな対応をするべきか。作家の有川真由美さんは「ほめられたときに、ほめ返すことが礼儀だと思い返答すると、社交辞令のような感じになってしまいがちだ。『ありがとうございます。うれしいです』と素直に感謝して喜ぶことこそ礼儀であり、相手もほめた甲斐があると思える。感謝することは、ほめた人をほめ返していることになる」という――。

※本稿は、有川真由美『話し方を変えれば運はよくなる』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

屋外の階段にトレンディなベージュのバッグを着けたスタイリッシュな女性
写真=iStock.com/Liudmila Chernetska
※写真はイメージです

「仕事ができますね」だけでは物足りない

「スピーチ、よかったです」
 ↓ 
「スピーチ、最初のつかみで、引き込まれました」

物書きとして料理を「美味しい」と表現するのは、プロ失格と言われます。

そんなありきたりの表現ならだれでもできること。

せめてひとつでも「塩加減が絶妙」「スープにコクがある」「後味がさわやか」などがあると「自分の言葉」になります。

ほめることも似ていて、「仕事ができますね」とざっくりほめられると、うれしいと思いつつも「どこを見てそう思ったの?」と聞き返したくなるでしょう(ほとんどは聞き返しませんが)。単なる社交辞令として受け取るかもしれません。

「先日、依頼をすぐに処理してくれたので、そう感じました」「電話の受け答えがすばらしかったので」といった“ほめポイント”を加えると、説得力をもって、ほめられる喜びは倍増。

「そこを見てくれたんだ」と好感をもつでしょう。

幸運な人は、ひとつの“ほめチャンス”を大切にします。

せっかくほめるなら、自分の言葉で相手に届くようにしたいもの。

ひと言加えるだけで、それはできるのです。

「すごいですね」→「○○ができるなんて、すごいですね」、「かっこいいですね」→「スーツ姿がかっこいいです」、「イラストが上手いね」→「猫ちゃんの表情が、なんともかわいい」、「元気ですね」→「あいさつが元気で、こちらまで元気になります」など、焦点はひとつに絞ったほうが、感動を伝えられるのです。