人に伝えることが苦手ならリハーサルを積もう

リハーサルには時間をかける――アウトプット実践のヒント①

日本人の弱点のひとつが、アウトプット力の低さです。

人にものを伝えることが苦手だと認識している人は、みなさんのなかにもたくさんいると思います。だからこそ、人にものを伝える技術についてまとめた書籍が、断続的に出版されているのでしょう。

ただ、それをいくら読んでも、本当に実践しなければ意味がありません。

また、自分は人に伝える力はあると単に思い込んでいるだけで、アウトプット力を正しく理解していない人も少なからずいます。こうしたことを念頭に、アウトプット実践のヒントをいくつかピックアップしていきたいと思います。

まずひとつめは、発信力をアップする方法です。

もし、自分は言葉や文字で人に考えを伝えるのが苦手だと思うなら、アウトプットのリハーサルを積んでください。これがいちばん発信力を習得できる方法です。

日本人は総じて知的レベルは高いにもかかわらず、プレゼンテーションが下手、ディスカッションが下手なのは、大学を卒業するまでの学校教育で、アウトプットトレーニングを積む機会が少ないからです。

もちろんかつての日本の学校教育には評価すべき点もあります。しかし、これに関しては残念というほかありません。

原稿をつくるまでは長けている日本人のもったいなさ

日本の国語教育は小説などの心情理解に重きを置く。それをどのような表現形式にすれば、聞く人にもっとも効果的に伝わるかは考慮しない。

それに対し、欧米では、論説文を読んで論点を整理し、自らの見解を述べるという、アウトプットまでを範疇に入れたトレーニングを徹底する。

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こうした教育方針の違いが大きな差をつくっているのです。アメリカの大学生と比べたとき、日本の大学生のアウトプット力の貧弱さは際立ちます。

たとえばみなさんはアメリカのジョン・F・ケネディ大統領(在位1961〜63年)が、演説の名人と言われていたことをご存じでしょう。

しかし、演説をするにあたっては、行きあたりばったりで本番に臨むのではなく、毎回リハーサルを丹念に行いました。アウトプット力の高いアメリカ人でさえ、伝えることに関しては準備を怠らず取り組んでいたのです。

わたしは結婚式をはじめ、さまざまなイベントでのスピーチを耳にするたびに、「もっとリハーサルをしっかりやればいいのに」と思うことは少なくありません。

日本人は、原稿をつくるところまでは非常に真面目に一生懸命取り組みます。しかし、リハーサルが決定的に足りないのです。

だから抑揚のない棒読みで、どこが面白さの山場なのかわからないスピーチになってしまう。原稿がいくらよくできていても、本番でスベる。聞いているほうも困惑する。

こういったことが非常に多いと感じています。