情報に振り回されず、自分の頭で思考できる人は何をしているか。医師の和田秀樹さんは「日本のマスメディアの流す情報を鵜呑みにする習慣が染みついてしまっている人は、『まずは疑ってみる』という視点が欠落している。何となくぼんやりとした思考をだらだらとするのではなく、ふだんから情報と数字的根拠を結びつけることを習慣化するといい」という――。

※本稿は、和田秀樹『60歳からは勉強するのをやめなさい』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。

水の入ったコップを持って薬を飲む準備をする高齢者
写真=iStock.com/apomares
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マスメディアの流す情報は絶対的真実ではない

疑って観察する習慣をつける――思考の幅を広げるコツ①

わたしたちが日常のなかで、うっかり鵜呑みにしてしまいそうになる言説には、どのようなものがあるでしょうか。

たとえば、権威者や有名人が断定的に語る説、絶対的な正義論、絶対悪を指摘する説、絶対善を主張する説、絶対的な正解だと言い募る説など、いくつも挙げることができます。

いまのこの国のマスメディアは、極度に単純化した情報を一方的に押しつける傾向が非常に強いという問題があります。

また、受け取る側にしても、「すべてのメディア情報は編集されたものである」、つまり編集サイドの意図が必ず影響しているという認識がないままに、それを偏りのない絶対的真実だと信じ込んでいるという問題があります。

あるいは、少数派、非主流派の意見は取り上げられないため、多様な捉え方があることすら伝えられないことも指摘できるでしょう。

まずわたしが言いたいのは、この世に絶対善や唯一の正解論はないということです。

しかし、マスメディアの流す情報を鵜呑みにする習慣が染みついてしまっている人は、「まずは疑ってみる」という視点が欠落しています。「これが正解」と言われればそれを信じ、多くの人がそれを支持していれば安心してしまう。

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