普段の生活でも「プレゼンの練習」を意識する

【伊藤羊一】僕の場合、会議中の会話を聴きながら、「この人の意見は自分とは逆かもしれない」「自分ならこう答える」「その意見よくいってくれた!」というように、自分の頭のなかで話し続けています。そうしていれば、いつ話を振られても瞬時に対応できます。

【澤円】その考えには大賛成ですね。最近、海外の大きなイベントに、何千人というオーディエンスのなかのひとりとして参加しました。そして、壇上にいるスピーカーの質疑応答を、僕も頭のなかで仮想的に代行していたのです。「英語でどう話そうか?」とずっと考えていたわけです。

【伊藤羊一】しかも、そういったことは仕事の場でなくてもできますよね。

【澤円】本当にそのとおりで、僕なんてどこでもプレゼンの練習をしています。例えばコンビニエンスストアのレジでだって、「レジ担当の人に、気分よくその後の仕事に戻ってもらうにはどのような接し方ができるか?」と考えてレジに並ぶのだって、プレゼンを含むコミュニケーションの練習になります。

【伊藤羊一】ずっと仕事ばかりしているという意識などなく、生活のなかにプレゼンの練習などのワークを乗せていく感覚ですよね。

【澤円】つねに本番モードでいるのだけれど、それが日常生活のなかに組み込まれているためその本番モードも心理的に楽になっていきます。本番モードがふつうの状態になるのですから、話すことに限らず、仕事をうまく進められることにもつながるでしょう。

(構成=岩川悟(合同会社スリップストリーム) 文=清家茂樹 写真=石塚雅人)
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