仕事のできる人のコミュニケーションにはどんな特徴があるのか。日本アンガーマネジメント協会代表理事の戸田久実さんと元日本マイクロソフト業務執行役員の澤円さんの対談をお届けする――。(第2回)

※本稿は、YouTubeチャンネル「Bring.」の動画「仕事の生産性を最大化するコミュニケーション術。『アサーティブ・コミュニケーション』の神髄に迫る」の内容を再編集したものです。

戸田久実さんと澤円さん
写真=石塚雅人
戸田久実さんと澤円さん

水泳が苦手な人を「水泳障害」とはいわない

【澤円】仕事柄、僕は多くのビジネスパーソンに会いますが、「コミュニケーションが苦手」という人は驚くほどたくさんいます。日本人から見るとコミュニケーションが得意に思えるアメリカ人でさえ、あるアンケートでは7割の人が「コミュニケーションが苦手」と回答しているのだそうです。多くの人がコミュニケーションに苦手意識を持っている理由はどのような点にあると見ていますか?

【戸田久実】過去のコミュニケーションに関する失敗経験ではないでしょうか。それにより、「自分はコミュニケーションが苦手だ」と決めつけている人が多いように思います。

けれど、コミュニケーション能力を身につけることは、教習所で車の運転技術を身につけることと変わらないとわたしは捉えています。教習所で一度も失敗しない人はいませんよね? うまく駐車できなかったとか、クランクコースで車体をこすってしまうといった失敗体験を重ねながら運転技術を身につけます。

コミュニケーション能力も同様で、すぐにはうまくなりません。わたしはよく「苦手」と「できない」は違うと伝えます。場数を踏んでコツをつかんでいけば、必ず向上させることができます。

【澤円】確かに、「苦手」と「できない」は違いますよね。水泳が苦手な人を「水泳障害」とはいわないのに、コミュニケーションが苦手な人についてはなぜか「コミュニケーション障害」を略して「コミュ障」なんていわれ方もします。でも、水泳を練習すればうまくなるように、コミュニケーションが苦手な人だって練習次第でうまくなるはずです。