良いビジネスは面白い問題をはらんでいる
こんにち巷にあるビジネス書の犯した罪のうち最大のものは、「確かさ」を金科玉条にしてしまったことだ。
チェックリスト、TODOリスト、原理原則、なんとかの10か条、これだけやればOKという秘訣集、などなど……。これらを実行すれば、経営に「確かさ」が生まれる、とする。ウソだ。本書の読者にぼくが伝えたい原理原則はたった一つ。
「自分の頭で考えよう」
これだけ。手軽で簡単な答えに飛びつくのはやめよう。ビジネスに定石はない。ないからこそ努力が必要で、努力した分だけ報われるのである。
「問題の本質」について天啓が閃いた数日後、さらに重要な気づきを得た。問題が常につきまとうものであるなら、では、良いビジネスと悪いビジネスの違いって、何なのだろう?
答え。
良いビジネスは面白い問題をはらんでいる。
悪いビジネスの問題はつまらない。
良い経営とは「技」である。問題を面白いものにし、解決に取り組むことで社員が生き生きと働き、健康的になる。まるでお宝が交ざった福袋のように。
ところが、悪い経営ではこうなる。社員は問題を避け、書類にして机のファイルへ投げ込んで知らぬ顔。良い問題は元気をくれる。悪い問題は気力を奪う。
ぬるい空気では、優秀な人材は外へ流れてしまう
良い問題は良い商品を求めてやまない。
数え切れないチャンスを運んでくれる。地域に寄与する。日曜午後ともなれば顧客が会社見学に訪れる。あなたを手助けしてくれる人が現れる。あなたより賢い人が社員に集まる(珍しいことではないだろう?)。競合他社はあなたの会社に肩を並べる好敵手だ。
悪い問題は悪い商品をもたらす。顧客の目には悪意がこもる。銀行の負債はとんでもない額に上る。オーバーワーク。給料が安いという不満。社員は会社に愛情を持てない。結果、だらけきった社員たち。
オーナー、経営者としてのあなたの仕事は発生する問題すべてを解決することではない。そうではなく、発生する問題が魅力的な会社にすることだ。そうすれば、賢くてずば抜けた力を持った人が応募してくれるようになる。問題の解決は彼らがやってくれる。
とはいえ、問題があまりに多くても、会社にとってはじわじわとボディブローのように効いてくる。一方、会社がぬるい空気で問題がほとんど起こらない場合でも、優秀な人材は外へ流れていってしまう。後に残るのは官僚組織、ということになりかねない。
常に問題というものはあるのであり、問題を良いものにするのは自分自身のパワーだと理解すれば、あなたは問題を家に一切持ち帰る必要がないだろう。あなたは問題を、問題の好きな場所、すなわち会社に置いておけばよいのである。
問題はそれだけで解決するはずだ。