自分の考えを、うまく相手に伝えるにはどうしたらいいのか。コミュニケーション・コンサルタントのひきたよしあきさんは「望遠レンズでズームするように『伝えたいこと』に迫ることが大切だ。ひらがなの『の』を活用すれば伝わる文章が組み立てられる」という――。

※本稿は、ひきたよしあき『ひと目でわかる、すぐに身につく [イラスト図解]5日間で言葉が「思いつかない」「まとまらない」「伝わらない」がなくなる本』(大和出版)の一部を再編集したものです。

オフィスで話をする人
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです

字数を制限して書く練習をするといい

【真に伝わる表現力を磨く方法①】書くときも話すときも40字を意識する
●短く書こうとしているのに、文章が長くなってしまう
●要約力がなくて、短くまとめるのが苦手
●誰もが読みやすい文章量の目安を知りたい あなたへ

あれもこれも漏らさず書こうとして文章が長くなる。結果、論点がわからない文章を書いてしまう。そんな経験はありませんか? そんな人には、字数を制限して書く練習をおすすめします。

字数は40字です。字数制限が40字であるにはわけがあります。子どもの頃、原稿用紙に書いた一文が、句点もなく3行続くと長く感じられました。もちろん、長い熟語や外来語もあるので目安でしかありません。

しかし、原稿用紙2行分(=40字)に字数を収めれば、ひきしまった文章になります。なぜなら、40字程度の文章は、息継ぎをしなくてもひと呼吸で読める。一気に読めるから、人の記憶に残りやすいのです。

ちなみに冒頭から、ここまでの文章はすべて一文が40字以内です。「しかし、原稿用紙2行分(=40字)に字数を収めれば、ひきしまった文章になります。」これが最長で39字。40字以内で書くと、読みやすいリズムが生まれるのです。

40字以内で、内容を完結させる

一文を40字以内に収めて書くクセがついたら、次は「伝えたい内容」を、40字以内に収めてみましょう。例えば、

●風邪の季節になりました。予防のために毎朝、ご家族でヨーグルトを食べましょう。(38字句読点を抜いて35文字)
●先日のプレゼンに負けました。勝ったのはA社です。今、敗北の原因を探っています。(39字句読点を抜いて35文字)

40字にまとめようとする気持ちがあれば、自ずと一文は短くなります。要約力も、このトレーニングでつきます。私は、ゲーム感覚で40字にまとめる文章をつくっています。ノート型の原稿用紙を持ち歩いて、俳句でもつくる気分で40字文を書いています。

POINT① 「新聞の見出し」「原稿用紙2行分」がよい目安

『記者ハンドブック』(第10版 共同通信社)によれば、ニュース記事の主見出し、脇見出しとも12字以内。リードの書き出し(一文)は11字以内。足せば35字です。40字文は、ちょうど新聞の見出しを見ているようなわかりやすさです。

POINT② 単語を削ぎ落す過程が、語彙を増やす

「グローバルリンクする」「ブラッシュアップする」のような長い言葉がきたら、40字文は成立しません。こういった言葉は、「世界規模で繋がる」「練り上げる」と短くする努力をする。文章を短くする意識を持つことで、ムダな文章や単語を削ぎ落とす力がつきます。「もっと短い単語はないか?」とあれこれ考えるために語彙も増えていきます。