動詞までしっかり語らないと、伝わらない

【真に伝わる表現力を磨く方法②】「動かしたい動き」を具体的にたくさん入れる
●必死に語っても、誰も行動に移してくれない
●相手に決断や判断を迫ることができない
●言葉に力強さがなく、人を動かすことができない あなたへ

人を巻き込む話し方のできる人は、「動詞」の重要性を知っています。それを知るために、まずは英語と日本語を見比べてみましょう。

Mana went to Matsuyama with her daughter.
麻菜は、彼女の娘と松山に行った。

英語は、主語のあとすぐに動詞が来るのに対し、日本語は最後。だから「麻菜は、彼女の娘と松山に……」と語ると、聞き手は「あぁ、一緒に行ったんだな」と文脈から推測できてしまいます。私たちのふだんの会話は、「ねぇ、お塩」といえば「お塩をとってほしい」ことだと伝わる。動詞を軽んじた話し方をしているのです。

動詞を抜いた話し方は、仲間同士なら通用します。しかし、これだけ価値観が多様化した社会では「~する」「~したい」「~しろ」という動詞の部分をしっかりと語らないと伝わりません。

×「得意先が怒っているかも」
○「得意先に、謝罪に行きましょう」
×「山田くん、どうかな」
○「山田くん、意見か感想か話してください」

人を巻き込む話し方をする人は、相手に不快な思いをさせないように、さりげなく動詞を入れた会話ができます。

オフィスで会議をする人たち
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

ここぞというときに、相手から動詞を引き出す

しかし、動詞を多用しすぎると、上から目線に感じられます。これを避けるために、相手から動詞を引き出す方法があります。「どう動けばいいですか」「どうすればいいですか」と、相手が「やめよう」「行こう」「決めよう」と動詞を口にするように促す。相手が「動詞」を語れば、それが相手の行動宣言になります。相手を動かすことができます。

POINT① 「動詞」を相手にきちんと示す

「動詞まで言うと、強い印象を与えてしまう」と日本人は謙虚に考えがちです。しかし、なかなか相手が動かないのは、あなたが曖昧な語り方、察してもらおうとするしゃべり方をしているからかもしれません。「動詞」をはっきりと語ったほうが、意思疎通がスムーズにできて、相手にとっても、わかりやすい会話になるのです。

POINT② 結論を迫るのではなく、アドバイスを求めるように

相手から動詞を引き出すように質問する。ただし頻繁に使うと、相手を圧迫し「自分で考えろ!」と言われてしまうことも。それを防ぐためには、悩みを共有したうえで、「○○さんなら、どう動きますか」とアドバイスを求めること。このように語ると、相手も「私に答えを迫っているのではなく、アドバイスを求めているんだ」と思えます。気軽に「動詞」で語ってくれるはずです。