幸福度は年齢と個人属性で大きく違う
ネットで検索すると、幸せになるさまざま方法がすぐに見つかる。
なかには、たった1つの方法で幸せになれるというものもあり、年齢や個人属性を考慮せずに数個の要因で幸せになれると説くひともいる。
しかし、きちんとした幸福度に関する研究成果を見ると、幸福度には年齢、所得や家族状況といった個人属性を含む複数の要因が複雑に関係していることがわかっている。
図表1は、筆者が企画、設計、分析を担当している「いい部屋ネット 街の住みここちランキング」の2019年から2024年の6年分の回答者(92万3456名)の個票データ(以下、「住みここちランキングデータ」という)から、男女の年齢別の主観的幸福度(最低1、最大10)を集計したものである。
グラフを見ると、年齢にかかわらず、結婚しているほうが、結婚していないほうよりも幸福度が高く、男女では常に女性のほうの幸福度が高いことがわかる。
結婚している場合は、30歳前後にかけて幸福度が上昇し、その後緩やかに幸福度が低下し、55歳前後で最低となり、その後は再び上昇していく。
結婚していない場合も同じような傾向だが、20歳以降一貫して幸福度が低下しており、結婚している場合のような30歳前後の山がない。さらに、50歳前後にかけての幸福度の低下が大きい。そして、この傾向は男性のほうが強く、中年の未婚男性の幸福度が非常に低いことがわかる。
幸福度を統計的に分析した
ネットには、「前向き」「感謝」「つながり」「自分らしさ」などがあれば幸せになれるといった言説もあるが、結婚することや子どもがいること、年収や資産などは幸福と関係がないのだろうか。
本稿では、筆者の過去の幸福度に関する論文「住まいが主観的幸福度に与える影響(2018年)」とレポート「いい部屋ネット街の住みここちランキング2023〈総評レポート②〉(2024年)」をもとに、住みここちランキングデータを使った新たな分析結果を考察してみたい。