“紅麹サプリ”の問題点は何だったのか

――ただ、2024年3月に報道された小林製薬の紅麹サプリによる食中毒事故では、当該製品が機能性表示食品だったにもかかわらず、腎障害による死者や入院患者まで引き起こして社会問題となりました。機能性表示食品制度の欠陥ではないかとの論調も多いようですが、宗林先生はどうお考えですか?

機能性表示食品の安全性はガイドラインで、機能性成分だけの食経験で見るとされてきました。ですが、紅麹の例では、機能性成分以外で毒性のある物質ができていたので、商品全体で見ていく必要があり、また今より長期で年数を決めての食経験が必要です。

また、製造工程管理(GMP)についても強く推奨されていましたが義務化ではありませんでした。

チェックするポイントについても最終的な製品となる打錠工場だけではなく、原料段階、紅麹の件では紅麹を発酵させていた工場においての品質管理がなされていないといけません。

毎回機能性成分の量が異なってしまうなど原料が安定していないのは問題ですので、原料から最終製品までのGMPの義務化が必要でしょう。

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“オーガニック”なら無害で安全なのか

――ここからは一般消費者からのよくある質問について伺っていきたいと思います。「とにかくお医者さん嫌いで、医薬品やワクチンも怖い。自然食品やオーガニックが好きで、健康食品なら安全で信用できると思っています。薬は副作用が心配だが、健康食品は有害な作用がないというのは本当でしょうか?」

医薬品よりは作用も弱いので副作用も相対的には少ないと思いますが、「食品だから安全」とは言えません。特に最近の健康食品は形状が錠剤やカプセルのものも多いので、食事の他に薬を飲むのと同じ感覚で毎日のように摂取しますよね。

そうすると自分の体質に合わない場合もあり、たとえば薬物性肝障害といって、自分の体質に合わなくてアレルギーのような反応をして肝機能の数字が悪くなることもあります。厚生労働省の調べでも薬物性肝障害の9%が健康食品が原因だった、という調査結果が出ています。健康食品を摂取して体調が悪くなるようなら、まずは摂取をやめてみて、体調が戻ってくるかどうかを見極めましょう。体調をくずしたのに、無理に飲み続けてはいけません。