「好転反応」に気を付けるべき理由

――さらに別の消費者からのご質問です。「母親がサプリメントを摂り始めたら発疹が出たので、販売会社に電話で問い合わせをしたら「それはサプリメントが効いている証拠で、その体調不良はよくなる過程で起こる現象、いわゆる「好転反応」だ」と言われたそうです」

「好転反応」という医学用語、実はないのです。「効果のある証拠ですよ」と、まるで効果のことを示す言葉として「好転反応」を使用するのは明らかに間違った説明です。そのとき体調が悪くなっているわけですから、すぐ摂取をやめることが大切です。

――さらに別の質問ですが、血液をサラサラにする医薬品をお医者さんから処方されている患者さんが、安全で飲みやすい青汁があるからと一緒に摂っているそうです。一緒に飲んでも問題ないのでしょうか?

血液を固まらせるにはビタミンKが必要です。血液サラサラの薬は逆に血栓ができないように働くわけですが、青汁のようにビタミンKが多く入っていると、血液サラサラの薬であるワーファリン等の働きを弱くしてしまうので、飲み合わせという観点では悪い組み合わせになります。

青汁やクロレラや納豆もビタミンKを多く含んでおりますので、同様にワーファリンなどと一緒に飲むのは避けるべきですね。このあたりは、ぜひかかりつけのお医者さんや薬剤師さんにご相談ください。

“がんに効く”は「個人の感想レベル」のエビデンスしかない

――がん患者のご家族からのご相談です。「父親が1年前に前立腺がんが見つかったのですが、病院で治療すると副作用で早死にするという本を読んでから、高額の健康食品にばかり頼っています。病院で治療を受けてほしいのですが……」

前立腺がんは罹患りかんする人も少なくないですが、それなりの治療法が病院では確立しています。手術したり、進行の遅い高齢者ではホルモン療法で過ごしているかたもいらっしゃいます。

民間療法は、きちんとしたエビデンスもあるわけではなく、知人に聞いてとか、雑誌等で読んでということで、民間療法に飛びつくのはたいへん危険です。まずは専門医に相談しましょう。

――健康食品で痛みを軽減したり、がんを治療したりすることが可能なのでしょうか? 芸能人のAさんがキノコの健康食品を飲んで、がんが消失したという話もあります。

民間療法は、個人の感想のレベルのエビデンスしかない場合がほとんどです。逆に病院での標準治療を受けなかったことで、早く亡くなってしまった芸能人の記事を見かけますが、教訓としましょう。我々の身体は免疫機能を備えているからこそ、風邪をひいても医薬品なしでも回復します。がんが偶然治ったサクセス・ストーリーは、そのかたの特別な状況だと理解しましょう。

がん細胞にターゲットを定めているイメージ写真
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