他人だからこそ挑戦に発破をかけられる

私自身もそんなふうにはなりたくありません。でも、「嫉妬」というのは愛する対象が(自分ではない)別の人を好きだとわかったときに湧き起こる感情でもあり、私にとってこの感情は、他人の顔をした一番理想的な自分と現実の自分がぶつかるときに起こる「情動」ともいえると思います。

私の場合、嫉妬する対象は好きな人たちだけです。自分にない長所を持った人のそばにいたいと思うこと。でも、私の嫉妬が辞書の定義と異なるところは、ほかの人がうまくいったりすると、とても嬉しくなること。

冗談半分で、私の周りにいる人たちはみんな成功する、とよく口にするのですが、友人たちが手に入れたいチャンスを逃さないよう、積極的に背中を押すのも私です。

不思議なことに、転職や(新しい)勉強といった「いい」チャンスは、一見すると「馴染みのない」チャレンジだからこそ、一人称で見る限りは躊躇したくなってしまうもの。でも、三人称で見てみると、「今すぐやったほうがいいよ!」となる場合があります。

私自身もそうです。友人が一人称で悩んでいるとき、私は三人称で発破をかけます。そういう決定はいつもいい結果につながることが多いです。

あっ、このあたりで一言お断りしておきたいことがあります。同じ「チャレンジ!」と叫ぶ場合でも、仕事と恋愛ではまた話が違ってきます。仕事にまつわるチャレンジならば失敗したように見えるときすら、その失敗から学べるものがありますが、恋愛に関しては必ずしも同じように言えるかどうかはわかりません。恋愛ほど、三人称の視点によるアドバイスが役に立たないものもないですから。

嫌いな人にも自分より優れた部分はある

嫉妬の対象が周りに多いというのは、私の長年の自慢でもあります。私よりもはるかに優秀な人たちがたくさん周りにいます。今もそうです。人間はとても複雑にできているので、一つをとって評価するのは難しいし、個人的には嫌いな人にだって、自分より優れた部分というのはあるものです。

他人に対して一番羨ましく思うのは、社交性かもしれません。MBTI〔Myers–Briggs Type Indicator(マイヤーズ=ブリッグス・タイプ指標)は、個人がどう世界を認識し、物事への決定を下すかについての心理学的な選好を示すことを目的とした自己申告型のアンケートで、検者は、外向型・内向型、感覚型・直観型、思考型・感情型、判断型・認知型の4つの二分法を掛け合わせた16の性格類型を示す〕式に言うならば、I(内向型)ではなくE(外交型)タイプの人たち。