「自分が何者なのか」がわからないまま成長してしまう人たち

昔から両親が嫌いで、実家を出てからはまったく連絡を取らなくなった。親との関係の悪さが影響し、兄妹や親戚とも疎遠になりつつある。

アメリカの心理学者として有名なエリクソンによると、多感な時期は13歳〜18歳と言われます。また、厚労省では15歳〜25歳と、厳密な期間が定められていないのが青少年期です。

大野萌子『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)

この頃は、「自分とはどんな存在なのか」を自問自答する大事な時期です。

自分が自分であることを他者や社会から認められることを「自己同一性」と呼び、いわゆる「アイデンティティ」が確立されていきます。

この時期に親との関係性が悪いと、残念ながら「自分の存在」というものに向き合えず、混乱や不安を感じやすくなる傾向にあります。

「自分が何者なのか」がわからないまま成長してしまうと、大人になっても自分の役割がわからずに苦しめられるのです。

「親子関係の解決」は難しい

また、子どもの頃に感じた「愛情飢餓」は、大人になっても自分の中に残ってしまうものです。親への恨みがあっても、「親が病気になった」と聞けば、反抗的な態度を取る自分に罪悪感が湧いてくる、という複雑な心理状況になります。

青少年期から続く親との不仲は、自分の努力だけではどうにもできないことです。こうした親子関係を根本から解決するのは難しく、方法としては親と程よく付き合っていくくらいでしょう。

過去の家族関係が悪かった場合、たとえ親に病気や介護の必要などがあったとしても、今さら深く関わりを持つ必要はないと思います。それでは、青少年期に健全な成長が促されなかった環境に、自ら戻ってしまうだけです。

ネガティブな思い出を掘り起こすことを、自ら行う必要はないのです。

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