多種多様な人々が集まる「究極のダイバーシティな場」

私の周りだけでもこれだけバラエティに富んでいるので、探せば「元○○」の藝大生はもっと多いはずです。

また、他の美術系の大学にいったんは入学しながらも、仮面浪人を経て入学する人が多いのも特徴です。

このように、一般の大学のように偏差値に基づいた定量的な基準がないため、多種多様な人々が集まる「究極のダイバーシティな場」というべき大学なのです。

写真=iStock.com/AndreyPopov
多種多様な人々が集まる「究極のダイバーシティな場」(※写真はイメージです)

では、どのような基準で、どのような試験を経て入学が許可されるのか?

これについて興味を持たれる方も多いと思います。こちらはこのあと詳細を述べていきます。

8浪して入る学生もいる

一般の大学に比べると多浪生(2浪以上での合格者)の割合が高いのも、東京藝大の大きな特色といえるでしょう。

2020年の大学入試全体における現役合格率は77.6%となっている中で、東京藝大が発行している「大学案内2021」によると、美術学部の現役合格者比率はわずか22.5%です(参考までに、東京藝大の音楽学部の現役合格率は78.8%と、一般の大学入試の現役合格比率よりもやや高い数字)。

私が今まで出会った卒業生の中では、8浪されたという方がいました。

8浪、つまり小学校入学から中学2年生までと同じ年月を浪人生活に費やして合格を果たしたのです、驚嘆すべき事実ではありませんか。