33の政策連携団体、33の事業協力団体
東京都の天下りポストは一体どのくらいあるのか。以前よりも情報開示は進んでおり、都の人事部は公式サイトで毎年、幹部職員の「再就職先状況の公表」を行っている。
令和5年(2023年)度公表分を見ると、再就職(天下り)をした職員は計287人。うち局長等は24人、部長級が67人、課長級が196人となっている。再就職先(天下り先)で見ると、政策連携団体は27人、事業協力団体等は21人となっている。
政策連携団体とは、恩賜上野動物園や多摩動物公園、葛西臨海水族園などを運営する東京動物園協会(公益財団法人)、多摩都市モノレール(株式会社)など33団体(23年7月24日現在)。「事業協力団体のうち、都と協働して事業等を執行し、又は提案し、都と政策実現に向け連携するなど、特に都政との関連性が高い団体で、全庁的に指導監督を行う必要があるもの」を指す。
東京ビッグサイト、首都高、ゆりかもめ…
事業協力団体も33団体ある(4月1日現在)。東京ビッグサイト(株式会社)、東京地下鉄(いわゆる東京メトロ、株式会社)、首都高速道路(株式会社)、ゆりかもめ(株式会社)、はとバス(株式会社)などが名を連ねている。
これは「事業活動範囲が主に都の区域内であるもの又は事業活動目的が主に都の区域内の発展に寄与するものであり、かつ、都が展開する政策の一端を担うなど、主体的に都と事業協力を行う団体であって、『東京都政策連携団体等の指導監督等に関する基準』において定める要件を満たす団体」をいう。
リストをみると、この組織も東京都の外郭団体なのかと思うものと、こんな組織があるのかと感じるものもある。いずれにしてもかなりの数であるし、民間企業への再就職も多い。
都は「人材の有効活用」と説明しているが…
東京都は天下りをどう考えているのだろうか。
都が公開している「退職管理の考え方」にはこう書かれている。
・こうした考え方のもと、これまで、職員(課長級以上)の再就職情報を一元的に管理する「都庁版人材バンク」を独自に整備し、人材の有効活用と再就職の透明性・納得性の向上を図り、適切な運用を重ねてきました。
・平成26年に地方公務員法の一部が改正されたことを契機に、東京都では、これまでの「都庁版人材バンク」の取組のほか、新たな取組を盛り込んだ「東京都職員の退職管理に関する条例」を制定しました。
・今後も、退職管理の透明性・公正性を一層向上させ、人材の有効活用を推進していきます。
人材バンクで一元管理し、条例を定め、透明性や公平性を担保しながら「人材の有効活動」を推進する立場を明らかにしている。しかし、天下りの内幕を暴露した人物が現れた。東京都人事課長などを歴任し、定年退職後に公益財団法人東京都環境公社の理事長を務めた澤章氏だ。この公社は都の外郭団体で、33の政策連携団体の一つだ。