「英語モード」では登場人物の行為からはじまり、背景に向かう

それに対して、英語ネイティブは、まずA man is reading.、つまり「男が読んでいる」と認識します。日本人の感覚からすると、これがどれほど唐突か、感じられますか? 先ほどのイラストを見て、何を差し置いても、まず「男が読んでいる」と思うわけです。

たとえばI like dogs.であれば、日本語にすると、いきなり「ぼくは好きなんだよ」という感覚、あるいは「休日は何をしてるんですか?」と尋ねられて、「私は見るんですよ(映画を)」と答える感覚です。

日本人にとってのこの「異様さ」を、しっかりと体感してください。日本語から英語にモードを切りかえるということは、この異様な世界認識に適応するということです。

「英語モード」の世界では、「誰か・何かが、何かをしている」ということが、まず認識されます。だから必ず英語は「主語+動詞」からはじまるのです。ついでa book、そしてin the libraryと続きます。

登場人物の行為からはじまり、それから背景に向かうという感覚です。「日本語モード」とは発想が真逆なのです。

徹底的な単語を並べるトレーニングが必要

日本語との違いは、主語をI/「私」にするとさらに明確です。

たとえば、きのうのことを聞かれて、英語ネイティブが、I read books in the library.と答えるのに対し、日本人は「きのうは図書館で本を読んでたよ」と答えます。

「私」という主語が消え、図書館という場のなかで、ただ「読んでいた」という出来事だけが残るのです。

「主語+動詞」からはじまる「英語モード」の世界と、「場」や「とき」のなかで、ときに主語が消えてしまう「日本語モード」の世界。このモードの違いを乗り越えるためには、徹底的な単語を並べるトレーニングが必要となります。

しかも、英語と日本語は、言葉のアウトプットの順番が正反対です。これは少し長い文章を比較すると、一目瞭然となります。

I went to a restaurant that serves the best pizza in Tokyo.
「東京で最高のピザを出すレストランに行ったよ。」

語順を比べてみましょう
【英語】
I went to a restaurant → that serves → the best pizza → in Tokyo
【日本語】
「東京で」→「最高のピザを」→「出す」→「レストランに」→(「私は」)→「行ったよ」

まさに正反対です。