中国で“日本製品不買運動”が起きる恐れも
輸出管理の厳格化などに対し、中国は追加的な報復措置をとるだろう。関税の引き上げに加え、不買運動などの非関税障壁が高まる展開も考えられる。状況によっては、中国で日本製品などのボイコットが起き、食品、化粧品、自動車メーカーの収益が下押しされる恐れもある。
米中の貿易摩擦熱の高まりは世界経済にマイナスだ。米ソ冷戦と異なり、グローバル化の加速で米国やEU諸国、わが国、そしてアジア新興国などと中国の相互依存関係は高まっている。米国も、日用品やアパレル、玩具などの分野で中国製品を必要としている。米中の報復関税の発動、それによる貿易戦争のリスクが上昇するに伴い、世界の供給網の不安定化は高まる。
世界の企業にとり、在庫積み増しや、調達先分散の必要性はさらに高まる。米大統領選挙でトランプ政権が誕生すれば、世界の供給体制は急速に不安定化し、コストプッシュ圧力が上昇する恐れもある。短期間で、米中の貿易摩擦が終息に向かうことも考えづらい。わが国の企業にとって対応を急ぐ必要性は高まっている。