「朝起きられない子にはモーニングコール」などの手助けも
ただ、自分に甘くて日々の課題から逃げてしまう人、喝を入れると逆効果になりそうな人には、言葉がけにとどまらず、手助けも行うという。
「生徒によっては、生活習慣から全部見直すことあります。朝起きられない生徒には、朝起きてちゃんと朝食を摂ってもらえるよう、親御さんに頼まれてモーニングコールをしていた時期もあります。
また、課題用のプリントを頼まれたら、“問題集があるんだからそれくらい自分でやらなきゃね。甘えるな”と文句言いながらも極力やってあげるようにしています。もちろん、自主的に取り組んでほしいですよ。でもね、本人に任せた結果が、3浪、4浪なわけです。自主性がある子は、とっくに受かっていますから」
長い受験生活、メンタルが不調でどうしてもノートを広げられないときもある。そんな人にはどうしているのか。
「少なくともその日の勉強が“0”にならないように、最低限のルーティーンワークをするように指導しています。例えば、毎日のルーティーンが文法問題50問なら、今日は1問でもいいからやろう、と。1問やれば2問、3問と進むかもしれない。
“今日、こんなに調子が悪いのに、これができた。多くはできなかったけど、0ではなかった”――こう思えるだけでも、自分で自分をほめることができる。もちろん、周りの大人は、たった1分でも、1問でもいいから、取り組めたことを評価してください。そして、明日につなげる。明日も1問でもできたら、褒める。そうして1問でもいいから毎日続けられるように。
夜ノートの習慣にもいえることですが、一度習慣にしてしまうと、モチベーションが低下したときでも、ノートを開けるようになります。ですから、とにかく毎日続けることが大事です」
最初は声をかけられたからやっていたことが、次第に本人が自主的に取り組むようになったら、合格は近いのだ。(構成=桜田容子)