SNSで大注目の「スカンジナビア睡眠法」

ここまで睡眠離婚について見てきたが、スペースを必要とするなどの事情で、実践が難しいことがあるかもしれない。急に寝室を分けるには、心理的な抵抗もあるだろう。

そんな場合、代わりに検討したいのが「スカンジナビア睡眠法」だ。フィンランドなど北欧やイギリス・ドイツを中心に多く実践されている睡眠法で、同じ部屋で眠りながらパートナーが互いの睡眠の質を上げることができる。

やり方はシンプルだ。通常通り2人用のベッドの上で一緒に眠るが、掛け布団や毛布など身体の上に掛けるものだけを、それぞれ1枚ずつ独立して用意する。スカンジナビア睡眠法により、3つのメリットが期待できる。

第1に、寝返りを打った際の振動が伝わりにくくなるため、眠りを妨げられる心配が少なくなる。パートナーの寝相が悪かったり、片方が深夜に帰ってきたりする場合、すでにぐっすりと眠っていた他方の睡眠を妨げがちだ。

米マサチューセッツ州ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のレベッカ・ロビンス医師は、米CNNの商品レビュー部門「アンダースコアード」に対し、「睡眠中に動かない人がいるという認識は、正しくありません」と述べる。誰しも自然に寝返りを打っており、その動きは多少なりともパートナーに伝わるものだ。掛け布団を分けるだけで、動きに悩まされる機会はずいぶんと少なくなる。

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寝室を別々にしなくても安眠できる

第2の利点は、快適な温度を保てることだ。

体格や性別によって、睡眠中に快適と感じる温度は異なる。寒すぎると寝付きが悪くなるが、深部体温(脳や臓器周りの温度)がある程度下がらない場合も、かえって入眠に至りにくい。快適な眠りを迎えるうえで、体温が果たす役割は想像以上に大きい。

ところが、1枚の掛け布団を共有していると、どちらかの体温に合わせた厚さの布団を選択せざるを得ない。掛け布団を分け、それぞれ好みの厚さの掛け布団を選ぶことで、お互いに快適に入眠できるというわけだ。サイズはそれぞれシングルサイズで十分だ。