毎日元気に過ごすために睡眠時間はどのくらい必要か。心理カウンセラーの下園壮太さんは「睡眠不足と脳のパフォーマンス(反応速度)の関係についてのある実験では、1日6時間睡眠の人は急激にパフォーマンスが落ち、2週間後には2日徹夜したときと同じくらいまで下がった。一方で、1日8時間の睡眠を取っている人は、日にちがたつにつれて脳のパフォーマンスが下がるが、変化は緩やかで2週間後もパフォーマンスの落ち幅は小さかった。理想の睡眠時間としては9時間だが、それだけ寝れていないと思うとエネルギーを消耗してしまうので、不眠を気に病まない“心の構え”をつくっておくことも大切だ」という――。

※本稿は、下園壮太『「がんばらない」仕組み』(三笠書房)の一部を再編集したものです。

ランプによって照らされた青い壁の寝室とベッドサイドのテーブルの上の時計
写真=iStock.com/Edwin Tan
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エネルギーを消費した分だけ長く寝ると疲労が回復する

エネルギーがないときというのは、いつもなら難なく、あるいはちょっと頑張っただけでクリアできる仕事で、思いどおりの結果が出せません。

自分ではそんなに疲れを感じていなくて、むしろいつも以上にものすごく頑張っているつもり。それなのに、

「頑張ろうという気持ちが空回りして、できませんでした」
「仕事を始めてすぐにイヤになって、途中で放り出してしまいました」

という状況になったとしたら、エネルギーはかなり低減しています。

この場合、一番ダメな対応は、「どうしてできないんだろう?」と、原因探しを始めてしまうことです。

そうするとつい「能力が足りないのか」「やり方がまずいのか」といったことを考え、迷路に入り込んでしまいます。

それは大きな勘違い。原因はひとえに、エネルギーの低下にあります。

唯一の改善策は一も二もなく、

「まずは寝ましょう」――。

このひとことに尽きます。

これが正しいことは、簡単な計算式でわかります。

仮に「睡眠で蓄えたエネルギー」を「10」として考えてみましょう。

日中にそれを上回る「12」のエネルギーを消費したら、キャパオーバーになり、疲労が「2」蓄積します。その日の夜は、オーバーした分だけ長く寝ないと、疲労は回復しません。

一方、日中に「8」のエネルギーしか消費しなければ、余力が「2」あることになるので、睡眠時間が前の晩より多少短くても、十分に回復することができます。

もし毎日のように、日中の消費エネルギーが睡眠によるエネルギー補給より大きい状態が続いたら、どうなるでしょうか?

当然、疲労困憊で、常にエネルギー不足の状態になります。

たとえ一日で見れば少しのマイナスであっても、それが積み重なれば、いずれ大きく体調を崩すことにもなりかねません。

「疲労回復は寝るに限る」――。

この真理をしっかりと胸に刻んでおいてください。