中高年が質の良い睡眠をとるにはどうすればいいか。スリープコーチの角谷リョウさんは「50代から質の良い睡眠をとるには『睡眠環境の改善』をすることだ。2万人以上の50代の睡眠改善をサポートしてきてわかった睡眠改善の方法トップ3は、1位『光環境の改善』、2位『マットレスの改善』、3位『目覚ましの改善』だった。特に世界でも夜がダントツに明るい国・日本では、電球色(暖色系)に比べて蛍光灯(白色系)は、メラトニン分泌が低下することが分かっている。照明を工夫することが、快眠への最も有効な近道である」という――。

※本稿は、角谷リョウ『働く50代の快眠法則』(フォレスト出版)の一部を再編集したものです。

ベッドの横のナイトスタンドを点ける男性
写真=iStock.com/Studio CJ
※写真はイメージです

50代の睡眠は「マットレス、シーツ、パジャマ」にこだわるべき理由

スタンフォード大学で世界最初の睡眠研究所「スタンフォード大学睡眠整体リズム研究所」の設立に関わり、初代所長になったウィリアム・C・デメンド博士は非常に正直でユニークな方でした。

寝具メーカーから、「一般的なマットレスと高級マットレスで、どれくらい睡眠の質が上がるのか」という実験の依頼をされたのに、勝手に「コンクリートの床」のケースを加えて、3つの条件で実験を行いました。

結果はなんと「一般のマットレス」「高級マットレス」「コンクリートの床」のどれもほとんど睡眠の質が変わらないことが分かり、デメンド博士はそのことを発表してしまい、寝具メーカーから大目玉を食らいます。

ところが後年、被験者が10代〜20代の若者だったのが原因であると著書で書いていて、実際に年齢が上がるほど、マットレスやシーツ、パジャマなどが睡眠の質に影響することが分かってきています。

その理由は体のクッション機能や肌の油分の低下などにより、特に体に触れている部分の悪影響を受けやすくなるからです。

私も若い人には、あまり寝具をはじめとする睡眠グッズの購入はおすすめしないのですが、50代の方には積極的におすすめしています。