居酒屋の店員が「おすすめ」を紹介してくるワケ
2.クロスセルとアップセル
2つ目は「クロスセル」と「アップセル」です。
よく居酒屋に入って、最初にビールを頼んだりすると「今日は北海道産のジャガバターがおすすめです」といった感じで、店員さんからおすすめ商品を伝えられることがありますよね。そしてまんまと「お、そうなの? じゃあそれも一緒にお願い」と思わず頼んでしまった、そんな経験、みなさんもありませんか?
これはクロスセルと言って、典型的な客単価アップの販売手法です。お客様が何か商品を購入する際に別の商品も提案し、組み合わせて販売するのです。
また、これとよく似た販売手法でアップセルというものもあります。
たとえば、マグロのお刺身を食べようと注文した際に「今日は三崎から新鮮な中トロが入ってますが、いかがですか」と言われ、ついつい頼んでしまう。これです。
アップセルはお客様が頼もうとしている商品よりもグレードの高い商品を提案して販売する方法です。クロスセルもアップセルも提案型の営業方法で、客単価を上げるための施策として非常に効果的な販売手法だと言えます。
ご飯や麺類の「大盛り」は儲かる
3.掛け算思考
3つ目は「掛け算思考」です。最近では赤ちょうちん居酒屋も回転率を上げるために、滞在時間を制限して営業しているところが多いです。これは、時間を制限しないと注文をせずにダラダラと席を占有されてしまい、売上効率が落ちてしまうからです。広いお店ならいいのですが、席数が少ないお店になってくると死活問題です。
しかし、お客様の立場で考えると「もっとゆっくり飲めるお店だったら、定期的に通うのに……」という意見もあり、常連客候補を逃がしてしまう可能性もあるため、店側としては時間制限を作るのは痛し痒し……というところなのかもしれません。
それならば、滞在時間が延びる分、課金できる仕組みを考えればいいのです。
たとえば、居酒屋であれば少し前に流行った「居酒屋×カラオケ」など、2つの要素を掛け合わせたビジネスモデルを展開していくといった方法が挙げられます。1曲歌うと200円が課金されるといった料金体系にすることで、注文しないお客様から別途でカラオケ代を請求できるようになるため、客単価のアップが見込めます。
このように、何かを掛け合わせることで、別方向から新しい売上を作ることができ、そこから客単価をアップできるケースもあります。売上アップに悩んでいる方は、このような掛け算思考を取り入れてみるのもいいかもしれません。
この他にも、ご飯や焼きそばなど作る手間がかからないメニューに「プラス200円で大盛り」といった選択肢を加えることで手間なく単価を上げるなど、少しの工夫で客単価アップは可能です。
今回は飲食店のケースでお話ししていますが、他の業種でも少しの工夫で売上アップにつながる方法はたくさんありますので、同じように考えて実践してみてください。