人から愛される人は相手の「命のリズム」を感じている

呼吸が止まると人は死んでしまうので、呼吸は人の最も深い部分の欲求である生存欲求に直結しています。そのため、相手の呼吸=話すスピードに合わせると、より深い安心感が生まれます。呼吸は相手の命のリズムなのです。

早口の人はゆっくり話す人にイライラしがちです。逆にゆっくり話す人は、早口な人に対して落ち着きがなく感じ、何を話しているのか聞き取れないことがあります。

藤本梨恵子『なぜか惹かれる人の話し方 100の習慣』(明日香出版社)

人から愛される人は、相手の命のリズムに合わせて話します。

私たちは気の合う相手とは自然に呼吸のペースが合っていますが、卓越したコミュニケーションができる人は、仲のいい相手だけではなくどんな人にも呼吸を合わせ、意識的に信頼関係を築いているのです。

相手の呼吸を感じるためには、まず心の矢印を相手に向けておくことが大切です。

心地よい会話をするには「パーソナルスペース」が大切

近所の家の番犬に急に吠えられて驚いたことはありませんか? 犬は、自分の縄張りに急に踏み込まれたから吠えたのです。

同様に、人にも他人が侵入すると不快に感じるパーソナルスペースという心理的縄張りがあり、警戒されずに話すためには、相手の心理的縄張りを意識することが重要です。

パーソナルスペースは次の4つに定義されます。

①公衆距離:

教室やホールなど複数の相手が見渡せる距離。相手に個人を感じさせない距離。講演会や街頭演説など、話し手が一方的に話すシチュエーションが多いので、ワンセンテンスを短く、ジェスチャーは大きくわかりやすく話す必要があります。

②社会距離:

相手に手は届かないが会話が容易にできる距離。机を挟んで会議や商談をするようなビジネス上の会話に適した距離。

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③個人距離:

お互いの表情が読み取れる、手を伸ばせば触れられる距離。友人など親しい間柄なら不快に感じない距離。

④密接距離:

相手と密着もできる至近距離。家族や恋人などはよくても、近しい関係でない人が入り込むと不快に感じる距離。

満員電車が不快なのは、至近距離に見知らぬ相手がいるからです。電車で新聞を読んだりスマホを見たりするのは「儀礼的無関心」といって、相手の存在は認識しても凝視せず、敵意がないことを示す行為です。周りに、自分は無害だとアピールしているのです。

この4つの距離を理解した上で、相手を不快にさせないように会話をします。