“元・数学苦手族”でも最前線で活躍できる
A社のセールストークでもコピー機を交換するメリットは伝わりますが、具体的なイメージを掴みやすいのは明らかにB社です。それにB社の営業であれば、今後質問したいことが出てきたときも、数字を使って詳しく教えてくれそうな安心感があります。
実際にはコピー機本体の価格や予算を考慮する必要がありますが、仮にA社とB社の商品価格が同じくらいであった場合、多くの人がB社と契約したいと思うのではないでしょうか。
このように、計算力を応用して話せるようになると、話に具体性が生まれ、信頼を獲得しやすくなります。「仕事ができる人」と思われる機会も増え、重要な場面でも意見を通しやすくなるのです。
一方で、数字に苦手意識があると、このような話を聞いても
「それは元々頭の回転が速くて要領がいいからだ」
「学生時代から数学が得意で、成績もよかったに違いない」
「文系人間で勉強も苦手だったから、同じようにはいかない」
と思ってしまう人もいるでしょう。
しかし、諦める必要はありません。現実には高い計算力を発揮して、ビジネス現場の最前線で活躍している“元・数学苦手族”も大勢います。計算力が高いかどうかは、決して学生時代の成績や得意科目で決まるものではないのです。
無意識に使っている「計算力」
計算の得意不得意に個人差があるとしても、ほとんどの社会人はすでに「計算力」を身につけています。
なぜなら、私たちは日常生活の中で当たり前に計算を行っているからです。
たとえば、出張や帰省で地方に行っていた社員が、お土産にお菓子やミカンを持ってきてくれたとしましょう。上司から「みんなに配っておいて」と言われたらどうしますか?
ほとんどの社会人が、計算しなきゃと意識することなく、
「24個入りか。うちの部署は12人だから、1人2個ずつ配れるな」
「○○さん、実家がミカン農家って言ってたもんな。数は中途半端だけど、ちょっと大きいミカンを2個分と考えれば、全員に3個ずつ行き渡りそうだ」
などと頭の中で考えて、部署の人たちに配りにいくはずです。
取引先に手土産を持っていく場合も同じでしょう。お世話になっている人や会議に参加する人数を考えて、なるべく全員に平等に行き渡る量のお菓子を購入するはずです。
そして、会社を訪問するときには、あらかじめ電車の時間や駅からの距離を調べて、約束の5~10分前ぐらいに着くよう逆算して向かう。もはや社会人の常識と言われるくらい当たり前のことですが、これこそが「計算力」なのです。