普段の自炊で無意識に考えるクセがついている

また、計算力はプライベートでも活かされています。

たとえば、普段から自炊をする人の中には、「この商品は普段よりいくら安いのか」を考えながら買い物をしている人もいるでしょう。なるべく食費を抑えようと思ったら、パッケージに書かれている100g当たりの価格を確認して、少しでもお得なものを選ぶはずです。

夕食を作る際も、「3分の1くらい残った人参があるから、これと今日買った食材を組み合わせよう。大根は2分の1残して明日の夕食に使おう」など、冷蔵庫の中身や翌日のことを考えながら料理する人が多いのではないでしょうか。

手慣れた人なら、「今ご飯を3合炊いたら、今日の夜と明日の朝の分を除いて2合ぐらいは余るはず。4食分は冷凍できるな」と無意識のうちに考えるクセがついているかもしれません。

計算力は「先読み」の力

仮に料理をしなかったとしても、家を借りるときに「家賃は相場と比較してどうなのか」を考えたり、自動車を購入する際に「何年ローンなら組めそうなのか」を検討したりと、日常のあらゆる場面で計算は登場します。

計算力とは、ほとんどの社会人がすでに身につけている能力であり、この社会で生きていく上で欠かすことのできないものなのです。

もしかすると、「そんな算数レベルの計算の話じゃないんだ」

と思う人がいるかもしれません。「知りたいのは生活の知恵ではなく、仕事で使える計算テクニックだ」という意見もあるでしょう。

しかし、これらの計算を速くできることが「計算力のある人」や「仕事ができるすごい人」と思われる第一歩。計算力を高めるためのコツもまた、小学校で習う「足す」「引く」「掛ける」「割る」の四則演算にあったりするのです。

それに、計算の意味を『広辞苑』で調べてみると、次のように定義されています。

【計算】
①はかりかぞえること。勘定。また、見積り。考慮。
②演算をして結果を求め出すこと。

これを見ると、計算という言葉が「数学的な方法で答えを導く」というニュアンスだけで使われるものではないとわかります。数字を見て考えることも、また計算。むしろ、これこそが計算力の本質であるとも言えるのです。