数字はあいまいさを具体化できる

計算力を使えるようになれば、売上や業績、受注件数を瞬時に計算して考えることで、自社の利益を客観的な数字として捉えることができます。

たとえば、高い計算力を持つ「すごい上司」がいるチームでは、ビジネス現場でよく耳にする「もっと訪問件数を増やせ」「もっと頑張れ」「最近、どうも顧客の反応が鈍いから、なんとかしろ」といったあいまいな指示が下ることもありません。

このような指示は、一見それらしいことを言っているように感じますが、実際には何も言っていないのと同じです。

訪問件数をもっと増やせという「もっと」とは、具体的に何件なのか。もしそれが1日5件だとしたら、なぜ5件なのか。そこまで計算して具体的な数字で語ることで、現場は動き出せるのです。

数字に強い上司なら、そのあいまいさを数字に落とし込んで、「今月は目標まで○○万円足りていないから、最低でも○件受注を増やす必要がある。だから、訪問件数をあと5件増やそう」

というように、誰もが理解できる共通言語に変換することができます。

業績と投資収益率を評価するビジネスマン
写真=iStock.com/ktasimarr
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セールストークに説得力を持たせられる

数字に敏感な部下がいれば、「そもそも、訪問件数を増やせば本当に売上は上がるのか」という疑問が提示されることもあるかもしれません。

計算力の高い人が集まれば、数字を使って有意義な議論を進められます。計算の結果、「訪問件数を5件増やす」ことが売上増加に効果的だとわかれば、納得感を持って仕事を進めることもできますね。

また計算力の使い方を知っている人は、自分の話に説得力を持たせることもできます。

たとえば、次のようなセールストークではどちらのほうが導入したいと思えるでしょうか。

Example
A社
弊社の最新コピー機に交換していただければ、コストをぐっと削減できてお得です。大容量トナーを採用しているので、今のように頻繁に交換する必要もないんですよ

B社

弊社の最新コピー機に交換していただければ、現在使用しているものと比べて○○万円削減できます。大容量トナーを採用しているので、毎日○枚印刷する場合でも○カ月に1度の交換で済むんですよ