昔の投資信託は手数料もリスクも高かった

【宇根】本来あるべき姿になってきたということで、利益が減った中でも立っていられるように運用業者自体も変革していかなければならないですね。

たとえば10年前に銀行・証券会社が薦めていた投資信託や、ネット証券のサイトに出ていた「投信人気ランキング」といったものでは、毎月分配型、ブラジルレアル等の高金利通貨建て、といった手数料が高かったり、リスクが高く、投資を行うことによるリスクとリターンのバランスが悪い商品が上位に上がっていました。毎月分配型といった積立と違い複利効果がなく、大半の資産形成の年代層にとって投資の基本である効果が得られないものも数多く見られました。

宇根尚秀さん

【後藤】手数料が高いものも多かったと記憶しています。たとえば信託報酬が1%だとしたら、100万円分の投資信託を買った場合、毎年1万円の手数料を支払うような仕組みになっていたんですね。それが今では0.1%ほどで済むものも増えてきています。

王道は「パッシブファンドを低コストで運用」

【宇根】信託報酬は本当に低くなりましたね。現在は競争が始まって、すべての金融機関がそういった良心的なファンドを提供しています。現在、個人投資家としてまず考えるべきは、それらのパッシブファンドを低コストで運用することに尽きるのだと思います。パッシブ投資は世界経済全体が成長することにベットしてるだけですから、個別の企業の業績について深く勉強しなくても単純な収益の源泉について腹落ちすれば投資をすることができます。

もしもっと勉強したいとか、社会貢献として世の中の課題を解決していくような会社を応援したいという思いがあるのなら、運用資産の95%は老後の資産形成のためにパッシブ投資に振り向けて、残りの5%は個別株やアクティブファンドに振るというアロケーション(資産配分)もあると思います。