20代に投資した1万円は定年後には何倍にもなって返ってくる

【後藤】長期というのは、20~30年のスパンなんでしょうか。

後藤達也さん
後藤達也さん

【宇根】そうですね。そもそも投資の目的を考えた時に、短期的に自分の資産を10倍にしたいというニーズも確かにあると思うのですが、大多数の人が考えるべきは、老後のための資産形成なんですよね。それを成功させるという主題で考えた時には、20~30年のスパンで成功できるグローバル分散投資に積立をしていけば、世界経済の成長の果実を享受する形で投資が成功していく可能性が高いんじゃないかなと思います。

【後藤】たとえば20代でそんなに投資に拠出できるお金がない人もいると思うのですが、月1万円でも20代の頃から始めていった方がいいということですか。

【宇根】はい。20代に投資した1万円は、65歳を超える頃には何倍にもなって返ってくることが見込まれます。20代の時には1万円ずつでも構いませんが、30代になって余裕が出てきたら2万円、3万円と少し増やして積み上げていけば、65歳になった時にも生活が豊かになるんじゃないかと思います。

1万円紙幣
写真=iStock.com/minianne
※写真はイメージです

今の投資信託は「投資家にとっては素晴らしい」

【後藤】最近はつみたてNISAもあり、積立を利用する人も増えてきたと思うんですよね。積立は基本的に長期の発想だと思うので、長期投資も広がってきている気がするんですが、分散も初心者からすると難しい気がするんです。何をどう分散すればいいのか、簡単にできる方法はありますか。

【宇根】分散投資にあたっては、投資信託を使っていただくとよいと思います。投資信託はかつては個人の投資家の前に提供される金融商品としては、業者都合の設計が多く、手数料が高すぎたり長期積立投資にそぐわない、優良とは言えない商品が多かったのですが、昨今は隔世の感があります。手数料が非常に安い良心的なパッシブファンドが増えてきて、投資家にとっては素晴らしい状況になっています。業者にとっては儲からない、という課題が出てくるのですが。

【後藤】運用業者の利益が減った分、その恩恵を投資家が受けているんですね。