資産を増やすにはどうすればいいのか。日興アセットマネジメント・シニアマネージングディレクターの今福啓之さんは「企業型確定拠出年金などで、元本割れのリスクのない『元本確保型』商品を選ぶ人が多いが、実は危険な選択をしているかもしれない。運用過程で損を出さないという『途中のリスク』は小さくなるが、十分な老後資金が作れずに退職を迎えるという『最後のリスク』は大きくなってしまう」という――。

※本稿は、今福啓之『投資信託業界歴30年の父親が娘とその夫に伝える 資産形成の本音の話』(星海社新書)の一部を再編集したものです。

コインの山の上に座る老夫婦の人形
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「アセット」は「アロケート」しなくていい

最初に考えるべきは毎月の積立金額。つまりいかに「本気の積立」を2人で平等にセットできるか。そして2番目に考えるのが投資資産の決定。難しい言葉で言うとアセットアロケーションだよ、って話だったよね。

少し前に話したように、投資信託には「株式だけに投資します!」っていう株式ファンドから、「株だけじゃ何なんで、債券で守りも入れときます!」のバランスファンド、「株なんて怖いもの一切入れません!」という債券ファンドまで色々あって、色々ありすぎて日本で何千本もある。

そうした中、株式ファンドと債券ファンドとその他にも……など複数を上手い具合に組み合わせることをアセットアロケーション(資産配分)と言ったりする。

でも君たちは20年後とか30年後をゴールとした積立を考えているわけなので、シンプルに株式100%の株式ファンドだけでいいよ、と言っておく。

つまり、「アセット」は「アロケート」しなくていい、株式というアセットへの「全振り」でいいということだ。

あ、でも責任は取らないからね。僕のこの一連の話は父親の一意見としてフラットに聞いて、あとは2人で相談して納得して決めてくれれば、結論は何でもいい。

結局、投資は運頼み

前にも言ったけど、細かい違いはあれど「預金に放置のノーアクション」に比べれば素晴らしいアクションとなるはずだし、乱暴に言えばどれも大体同じ方向に動くものだし、結局のところ今後の市場環境頼みという意味では運次第なんだからさ。

ただ長期戦において、中途半端な腹の括り方だとブレて失敗してしまう可能性が高いので、君たちには前向きに潔く、株式100%のファンドにする「覚悟」を持ってもらいたいと思っている。