一方では「アセットアロケーション」「シャープレシオ」「リバランス」といった、プロ由来で正しいものの、普通の人には理解や実践が困難な技術論も多いんだよね。できないことを勉強しても時間がもったいない。

君たちはそういうのはすべて気にしないでいい。そんな勉強はしたくないだろうし、してほしくない。ネットもYouTubeも見ずに、もっと楽しいことや大事なことに時間を使った方がいい。ひとつの籠に株式の投資信託を入れて、入れたことを忘れて、仕事と生活の充実にエネルギーを注いでもらいたいと思う。

株は確かに怖いけど、とにかく他のものと混ぜればOKって話でもない暑苦しい精神論になっちゃったので話を戻すけど、株だけでは怖いからと色々なものを混ぜる分散投資には、デメリットもあるって話なのよ。

簡単に言えば「たくさんのものに分散すればするほど、リスクは確かに分散されるが、リターンの方も分散されて凡庸(ぼんよう)になりがち」ということ。

「バランスファンド」が正解とは限らない

確かに「株100%」なんて怖い感じがするから、たくさんのものに分散したくなるのは人情だよね。

具体的には株とは性質が異なる債券と混ぜるのがいいとされている。1つの投信の中で最初から混ざってるタイプを「バランスファンド」っていうんだけど、確かに日々の値動きはマイルドになることが多い。

投資信託の比率を示す円グラフ
写真=iStock.com/benedek
※写真はイメージです

でもね、株全体が仮に10年後に何と2倍になったとしても、株と債券に例えば半々に分散するバランスファンドでは、その基準価額、投信の値段だね、は2倍にはなれてないわけですよ。

株だけに100%投資するタイプのファンドなら基本的にその恩恵に100%あずかれるわけだけど、株に50%、債券に50%と分散するバランスファンドだったら、株式のせっかくの2倍の上昇は半分の50%上昇分しかゲットできないことになるでしょ。わかるよね。

混ぜれば正解かっていうと、そう簡単じゃない。目的による。

君たちの目的が「20年後にしっかりした額のお金を手にした余裕ある大人な家族になっている」ってことなんだとしたら、株100%の株式ファンドにするというのが、君たちにとってのアセットアロケーションだと僕は思う。

全然アセットをアロケートしてないけどね。ただ、親とはいえしょせんは他人の意見だから、決めるのは自分たちでよろしく。

積立投資のリスクを2つに分けて考える

株100%の投資信託にすればいいよ、って話をした。なぜそんな決めつけを、責任も取れないくせに言うのか。それを話してみたいと思う。

2人にはぜひリスクを「途中のリスク」と「最後のリスク」の2つに分けて考える、という理解を持ってほしい。

これは、確か僕がウチの会社に転職した直後くらいに思いついたものなんだけど、それ以来、実は資産運用で一番大事な考え方なんじゃないかと思っていて、あちこちで言いふらしている自分史上最大級の自画自賛ワードなんだよね。

まず、次ページの絵を見て。