中国側は「ミシュスチン政権」を期待している?
プーチン大統領は5期目の最初の外遊先として中国を公式訪問する予定で、ラブロフ外相が4月に訪中し、事前準備を行った。国際的に孤立するロシアは、中国との経済・外交協力を強化し、ウクライナ侵攻への直接、間接の支援を得たい意向だ。
しかし、ショルツ独首相の4月の訪中に続いて、習主席は5月末、フランスなど欧州連合(EU)諸国を訪問する計画で、ロシアを公然と擁護できない。不動産不況や低成長、失業増に直面する中国は、EUとの経済協力を最も必要としており、「戦狼外交」も各国の反発を受けて中止した。
中国の一部企業がロシアの軍需産業を支援する動きがあるが、バイデン米大統領は4月2日、習主席との電話協議で、中止を要求し、経済制裁を示唆した。
中国は米国の対露経済制裁に伴う二次制裁を警戒しており、中国の大手銀行はロシア金融機関との取引を一部停止した。日中が参画する北極圏の液化天然ガス(LNG)プロジェクトでも、日本と同様、参加凍結を検討中と伝えられる。
中国にとって、ロシアは不可欠な反米パートナーであり、独占進出する重要市場ながら、シロビキが主導するプーチン政権の保守強硬路線には内心、手を焼いているかにみえる。穏健で経済優先の「ミシュスチン政権」の登場を密かに期待するかもしれない。