大統領選を前に政権側に排除された?

反プーチン運動の指導者で、ロシア当局に拘束、収監されていた活動家のアレクセイ・ナワリヌイ氏が16日、刑務所内で死亡したと報じられた。直接の死因は不明だが、3月15~17日のロシア大統領選を前に、邪魔者として政権側によって排除されたという見方が多い。

出廷したロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏(ロシア)=2021年2月20日
写真=AFP/時事通信フォト
出廷したロシアの反体制派指導者ナワリヌイ氏(ロシア)=2021年2月20日

圧勝が確実なプーチン大統領の5期目の目標は、ウクライナ南東部とベラルーシを併合し、「スラブ新国家」を創設することかもしれない。

プーチン氏は最近、実効支配するウクライナ東部・南部4州を、5期目の任期が切れる2030年までに完全統合するよう通達した。昨年公開されたロシア政府の内部文書は、2030年までにベラルーシを吸収合併する計画を明記していた。

プーチン氏は2021年に発表した論文で、ロシア、ウクライナ、ベラルーシを「三位一体のロシア民族」と強調しており、新スラブ国家の創設を5期目の最大目標に掲げている可能性がある。欧州の地政学がさらに激変しかねない。

併合したウクライナ領に1兆7500億円を投資

プーチン氏は1月31日、ロシアが併合したウクライナ南東部4州の社会経済開発会議を主催し、「2030年に4州の生活の質を全ロシアの水準に引き上げねばならない」と述べ、経済、インフラ、医療、教育、文化などのプロジェクトに毎年1兆800億ルーブル(約1兆7500億円)を投資し、復興を急ぐと強調した。

プーチン氏は東部のドンバス、ルガンスクを「ドンバス」、南部のヘルソン、ジャポリージャを「ノボロシア」と呼び、高速道路や住宅、学校の修復を行い、今後新産業や雇用の創出を行うよう指示した。

昨年6月からのウクライナ軍の反転攻勢が失敗し、戦況がロシア優位に転換したことへの自信が背景にあり、併合地域を恒久支配する意思を誇示した。

ロシアは2022年9月、武力制圧した4州の併合を一方的に宣言し、憲法にもロシアの構成体と明記した。しかし、ルガンスクを除く3州は全体の6~7割しか制圧できておらず、ヘルソン、ジャポリージャの州都はウクライナ領のままだ。