自分の送別会を仕切りだしたHさん
一方、思い通りに「人を操る」というのは、人をコントロールしようと考えている状態です。
このような考えを持っていると、結果的には皆に嫌われることになります。
Hさんが退職することになり送別会がありました。Hさんの理想は涙ながらに引き止められ、名残惜しげに見送られることです。ところが、行ってみると送別会という体裁のただの飲み会の雰囲気で、それぞれが楽しんでいます。
しかし理想と違うことに腹が立ったHさんは「理想通り」を望み「私が辞めると聞いてどう思った?」「これからほんとに大丈夫?」「私は会社に残ることもできたんだけど……」「あなたが昇進したときのこと覚えてる? 私がさ……」「あのプロジェクトをやり終えてないことが心配で……」などと思い通りの回答を得られるまでみんなに話しかけました。自分の思い通りに言わせよう、褒めさせようとゴリ押しし続けたのです。
最後には「この送別会の仕切りはどうなの?」「そろそろ私へのメッセージを一人ずつ聞きたいな」などと送別会を仕切りだしてしまいました。理想と違う現実を思い通りにするために人を「操ろう」としたのです。これは嫌われてしまうことは明白です。
理想通りの送別会ではないとわかったときに、Hさんがそのことを受け入れ、理想通りを諦めることができたら違ったでしょう。諦められなかったため、どうにか相手を操ってでも理想通りにしようとしたのです。