夫婦でお互いに「オフの時間」を設けることを提案

Aさんには、心臓に病気があっては大変ですから、循環器内科の受診をすることを約束していただきましたが、少し、以下のお話もさせていただきました。

おそらく、日中は仕事スイッチがオン、帰宅後は家事育児スイッチがオンの緊張状態が続きすぎていること、この状態が続けば疲れがたまるのも無理はない、その結果が睡眠不足や動悸の原因の可能性があると感じると。決して珍しいパターンではなく、産業医の経験上、育児休暇明けの働くママさんでは比較的よくある症状であることも。

そして、その対策として、仕事の時間、家事育児の時間以外に、自分の時間を確保することを提案しました。おそらくご主人様も似た状況かもしれないので、ご主人と相談し、お互いにオフの時間、つまりは自分の気分転換の時間を設けることを提案しました。

「親子2人で外出」の日を定期的に作ったBさん夫婦

このような状況に上手に適応した人の事例についてもお伝えしました。

その方(Bさん)は、数年前に同じような状況で産業医面談に来られました。聞いてみると、夫婦ともに仕事と初めての子育てに疲れてはいるが、週末はわが子のためをと思い、土日両方ともいつも親子3人で外出することがほとんどだとのことでした。

そこで産業医からは、いつも3人で遊びに行くのではなく、お母さんと子供、お父さんと子供、親子3人の3パターンで外出は可能なことをお伝えしました。そして、2人での外出の間は、もう1人の親は自由時間とし、その間を自分のオフタイムにすることをお願いしました。

頻度やその時間は、夫婦で相談してもらったところ、Bさん夫婦はまずは、月に1回は、それぞれが子供と週末1日を外出することにし、その間もう一人は自由時間にするようになりました。Bさんはマッサージに行ったり、友人と食事したりし、ご主人は釣りやプロレス観戦にと、昔からの気分転換に時間を使うようになりました。すると2人とも、自分の時間を設けることでその日だけでなく、前後数日の気分がいいこともわかり、今では2週間に1回、それぞれの時間を1日だったり半日だったり設けるようになったとのことでした。

写真=iStock.com/monzenmachi
※写真はイメージです

もちろん、子供と2人だけの外出は最初は緊張したようですが、次第に慣れ、また、同世代の子供のいる人と遊びに行くようにもなったとのこと。親子3人での休日もそれはそれでかけがえのない時間だと心から感じることができるようになったというBさんの穏やかな顔が印象的なケースでした。