AIを利用した企業は全体の5%

また、生成AIと相性がよいとされる自動運転技術だが、自動運転スタートアップの「クルーズ」が提供する「ロボタクシー」は、実証実験中にたびたび救急車両の走行を妨げたり、公道の真ん中で突然停止して交通をストップさせるなど問題が続発。ついには人身事故を起こすに至り、カリフォルニア州当局から「公共の安全上のリスク」と認定された。信用回復の道は険しいといえる。

このように、生成AIは信頼性と利便性の面で大きな問題を抱えており、それゆえ米企業においてもAIの利用はまだまだ進んでいない。

2024年2月の調査では、過去2週間でAIを利用して製造やサービスを行った米企業の割合は、業界全体の5%ほどに過ぎなかった。

この先6カ月で生成AIを業務に使用することを計画している会社ですら7%に満たないとの結果が出ている。

ChatGPTの月間訪問数も減少

また、金融業界のニュースサイトである米アメリカン・バンカーは2024年3月21日に、「銀行は生成AIを採用しているが、対顧客コミュニケーションでの利用は及び腰」とする記事を掲載した。

詐欺や資金洗浄(マネーロンダリング)の検知などでAIが活躍する一方、カスタマーサービスには使えないとする調査結果だ。

この傾向は、一般ユーザーでも同じだ。OpenAIご自慢のChatGPTの月間訪問数は2023年4月の18億回をピークに減少・横ばい傾向にあり、2024年2月現在では16億回と低迷している。ちなみに、同月のグーグル検索は811億回だ。

写真=iStock.com/Robert Way
ChatGPTの月間訪問数も減少(※写真はイメージです)

生成AIがウェブ検索に取って代わる未来はまだまだ遠そうだ。マイクロソフトの生成AIアシスタントCopilot付きのBing検索の世界市場シェアは2023年12月に3.4%にとどまり、グーグルの91.6%に圧倒的な差をつけられている。