日本の学校教育の機能不全を指摘する声は多い。新著『ChatGPT「超」勉強法』が話題の野口悠紀雄さんは「ChatGPTを利用することで、学校教育で不十分だった点を補完できる可能性がある」という――。(第2回/全4回)

※本稿は、野口悠紀雄『ChatGPT「超」勉強法』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。

ChatGPTは学校教育を補完する

学校教育はいくつかの点で不十分な教育しかしていないと、拙著『超「超」勉強法』で指摘した。そして、これを補完するには、独学で勉強するしかないと述べた。

いま、ChatGPTという強力な手段が現れた。これを用いれば、学校教育で不十分だった点を補完できる。

学校などの教育機関や政府は、こうした変化をどのように捉え、対応していくかを、真剣に考える必要がある。

ChatGPTを用いた勉強は、独学をする場合にとりわけ便利だ。家庭教師に教えてもらうのと同じようなことになるからだ。

独学をする場合に難しいのはカリキュラムの作成だが、それを示してもらうことができる。自分が現時点でどんなことを知っているかを説明し、目標を指し示す。そして、これらの間隙を埋めるにはどのようなことを勉強すればよいかを教えてもらう。

また、標準的な教科書を教えてもらうこともできるだろう。

インターネットで空間がつながっているモダンな教室
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ChatGPTの有効性は教科ごとに大きく異なる

ただし、どの科目においてもChatGPTが同じように有効であるわけではない。ChatGPTの有効性は、科目によって大きな違いがある。

まず、外国語や国語の勉強にはたいへん有効だ。しかし、数学については、ChatGPTだけでは勉強できない。それは、ChatGPTは数学の問題に誤った答えを出す場合が多いからだ。

これは、多くの人々がChatGPTについて漠然と抱いているイメージとは違うものだろう。

理科や社会では、ChatGPTによる誤った答えにどのように対処して勉強を進めていくかが重要なポイントになる。