日本初の手法として期待を集めていたが…

宇宙スタートアップ(新興企業)の「スペースワン」が、小型ロケット「カイロス」の打ち上げに失敗した。国から民間へと宇宙開発の担い手が移る中、独自にロケットを開発し、和歌山県串本町に自前の射場まで新設してビジネスに乗り出す日本初の手法は、期待と注目を集めていた。衝撃は大きい。

写真=時事通信フォト
小型衛星ロケット「カイロス」の打ち上げ失敗について記者会見するスペースワンの豊田正和社長(手前)=13日午後、和歌山県那智勝浦町

3月13日、午前11時に打ち上げられたカイロスは5秒後に爆発炎上。大きな赤い炎と白煙が上がった。派手でショッキングな爆発映像は繰り返し報じられ、それまで世間にあまり知られていなかった「スペースワン」と「カイロス」の名前を一気に広めることになった。

宇宙開発の担い手を国から民間へという流れは2000年代から顕著になった。
特に小型衛星を多数打ち上げて観測や通信に使うビジネスが、米「スペースX」をはじめ、世界でさかんになり、小型衛星ブームになっている。打ち上げ用ロケットの需要も高まっている。

米国などでは、宇宙スタートアップが続々と誕生し、この流れをいっそう加速させている。日本は乗り遅れており、ここ数年、政府もスタートアップ育成に力を入れるようになってきた。

「あきらめるつもりは全くない」強気発言に抱く違和感

カイロスは、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が開発した「H2A」「イプシロン」などのロケットと比べてぐっと小さいが、小型衛星を短期間で、手軽に、安く打ち上げられるを、うたい文句にしている。スペースワンは、カイロスを年20回打ち上げる計画をたて、「宇宙宅配便」とアピールしている。

当初の計画では2021年度に初号機を打ち上げる予定だったが、4回延期を重ねた。
カイロスには政府の情報収集衛星の小型衛星が搭載されており、この衛星も失われた。

失敗後の記者会見でスペースワンの豊田正和社長は「あきらめるつもりは全くない」「失敗という言葉は使わない。それが会社の文化と理解してほしい」と強調した。

何ともかっこいい。JAXAの打ち上げ失敗ではまず耳にすることがない、極めて前向きな言葉だ。失敗すると、再開まで時間を要するJAXAのようなやり方では、ベンチャーは失速する。

スタートアップとして市場に参入し、何度も失敗を繰り返しながら、今や世界のロケット市場を牽引する米スペースXのイーロン・マスク氏のようだ。

その言葉通り頑張ってほしい。だが、一方で、違和感もおぼえた。

ひとつは、記者会見に登壇した、豊田社長、遠藤守・取締役、阿部耕三・執行役員というスペースワンの経営陣3人の顔触れだ。